マイフレンドD

□〜君と僕が幸せになれる方法〜 第13話 前編
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あれから3ヶ月が過ぎた。先月くらいから体調の悪い零は、警察学校の先生に誘われて警察病院に来ていた。
何故か産婦人科に案内され、尿検査を進められた。流石にここまでくると、妊娠したのかと考えてしまう。
その考えは、見事に当たってしまった。
「おめでとうございます、妊娠3ヶ月目ですね。双子ですよ」
産婦人科医に言われてやっぱりか、と思った。行為をしている訳だし、妊娠していてもおかしくはない。秀一の子供なら欲しいと思う。だが・・・。
「赤井さん、そんなに気を落とさないでください。今までにも、警察学校に通っていて、出産された方もいます。相手の方とよく相談されてください。堕ろす場合の書類も一緒に渡しますので、次の診断までに考えておいてください」
産婦人科医に言われ、書類を受け取って警察病院を後にした。今日1日休むようにと言われているために、警察学校に行くわけにも行かず、自宅に帰宅した。
しかし、家に帰ってもする事が無く、隣の家の工藤家を訪れた。
「あら、零ちゃんいらっしゃい!」
「あぶぅ〜」
「こんにちわ、有希ちゃん!新一くんも元気ですね」
「えぇ。まぁ上がって、零ちゃん。今日は女優時代の知り合いが来ているのよ」
昨年生まれたばかりの新一を抱いた有希子が家の中に案内してくれる。
(この工藤邸は記憶にあるままだな)
何て思いながら、有希子の後に続いてリビングに入る零。
「紹介するわ、零ちゃん。彼女はシャロンよ。アメリカの大女優のシャロン・ヴィンヤード」
有希子が言う名前にハッとした。シャロン・ヴィンヤードとは、ベルモットの本名だからだ。
零は平然を装って挨拶をする。
「初めまして、シャロン。私は降谷零です。よろしくお願いしますね」
表情を隠すのはいつ以来だろうか。顔を上げた先に見えたのはやはり、老けメイクをしたベルモットの姿だ。
シャロンが少し驚いた様な顔をして有希子に席を外すように言う。新一を連れた有希子はトイレに行ってくると言って、新一を連れて部屋を出て行った。
「久しぶりね、バーボン▲
「っ!あなた、記憶があるんですか?」
「えぇ。でも、警戒を解いて欲しいわ。今回はCIAの諜報員、組織に潜入している身よ。キール・・・、いえ暎海とは同期なの」
「そうなんですか・・・」
シャロンが出したCIAのバッチと名刺を見て、ほっと一息をつこうと思ったが、こいつは千の顔を持つ女だ。嘘かもしれない。
「バーボン、・・・いえ、零。証拠ならこの写真があるわ」
ポケットから写真を取り出して、零の目の前に持って来たシャロンからその写真を受け取って見ると、そこには本堂親子とCIAになったばかりだろうシャロンの姿が映っている。さっき見せてもらったバッチが映っているから、シャロンが言った言葉は本当なのだろうと肩から力を抜いて、ソファーに座る。
「びっくりしましたよ、シャロン。あなたがここに居るとは思いませんでしたから。有希ちゃんとはどんな知り合いなんですか?」
「そうね、組織から言われて女優になったのはいいんだけれど、変装技術がいるから東洋のマジシャン、黒羽盗一氏に弟子入りした時に会ったのが彼女よ。それから仲良くなって」
「変装技術って・・・。あなた変装できたでしょう?」
「ええ。まぁ。でも有希子とまた会えるのが楽しみでね。まさか零に会えるとは思わなかったけど」
ニヤリと口角をあげるシャロンを見て、零も微笑んだ。そんな時、話が終わったタイミングを図ったように有希子がリビングに戻ってきた。
「話は終わった‍?」
「ええ、有希子。ありがとう。久しぶりに零と話せたから少し長くなってしまったわね」
「あら、そうなの‍?・・・そういえば零ちゃん。私に話が有るんじゃ無かったの‍?」
問われた質問に、有希子の鋭さは侮れないなと思ってしまった。

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