マイフレンドD

□〜君と僕が幸せになれる方法〜 第11話
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零の両親と秀一の父親が亡くなって1ヶ月が過ぎた。秀一は真純や秀吉の父親代わりとして、バイトを初めた。零はメアリーに迷惑かけない様に、バイトをいていた。
メアリーには止められたが、迷惑を掛けたくなかったから、バイトは止めなかった。それどころか、親の死を思い出さないようにバイトを詰め込んでいた。
「零ちゃん、大丈夫‍なの?目の下の隈、酷くなってるよ?」
有希子に心配そうな顔で問われたが、どんな言葉も今の零は止められない。
それは零自身が一番よく分かっている。
授業の合間にぼんやりと今日は工事現場の手伝いだったな・・・、と思い出した。

「よお零ちゃん!」
「こんばんわ、松平さん」
零に笑顔で声を掛けてきた松平に、疲れた顔を隠して笑顔で返す。
今日も頑張るか、と気合いを入れて仕事を始めた。
夜間、夜通しで働いて、ふらふらの体に鞭を入れ、帰って二時間だけでも寝ようと、家に帰った。
どんな道を通ってきたか、全然覚えていないが目が覚めると家の自分の寝室にいて、隣には秀一が居た。
「しゅう・・・いちさん」
「零っ、大丈夫なのか?」
零が目を覚ましたことに一瞬安心したような顔をしたが、秀一以上に窶れた顔をした零の顔を見て、顔を顰めた。零はそれに気付かなく、秀一に時間を聞く。
「今何時ですか・・・‍?仕事に行かないと」
「零っ、ちょっとは自分の事を大切にしたらどうなんだ。熱が出ているのにも気づかず、夜間夜通し働いて・・・。ふらふら帰ってくるのが見えて慌てて傍に行ったら玄関でぶっ倒れたのが見えた。俺が見つけてなかったら、どうするつもりだったんだ‍?二時間だけでも寝たら仕事に行くつもりだったんだろう?そんな状態で行っても何の役にも立たない。昔から自分の体調のことなんて全く考えていなかった節があるから、いつかこうやって零が倒れるんじゃないかって凄く心配していた。俺もおふくろも。でも、零が人一倍頑張って両親のことを忘れようとしてたから、俺もおふくろも何一つ言えなかった。
零が甘え下手なのは知ってる。自分でなんとか出来るって知ってるのも俺は知ってる。でも、出来れば誰かを頼ってほしい。俺じゃなくてもいい、周りの人達を・・・。零を心配している人たちを頼ってくれ。今回目の前で倒れた時は、本当に心配した。本音を言うとこのまま失うかも知れないって恐怖したんだ。だからこそ、こうやって怒ってしまった。ごめんな‍?零」
そう言って秀一が腕を差し出すと涙を流しながら零が秀一に抱きついた。ごめんなさい、と謝りながら。

それから零はバイトの数を減らした。今は頼れる人がそばに居てくれてるって信頼が出来る。秀一がそばに居てくれてるんだって事が、凄く安心した。

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