マイフレンドD

□〜君と僕が幸せになれる方法〜 第10話
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あれから四年が経ち、高校二年生になった。帝丹高校に通っている零達は、今日も4人で高校に登校していた。
「今日、零ちゃんと秀ちゃん誕生日だったわよね?」
「ええ、そうです。今日は両親が仕事を定時で上がってくれるって言ってたんで、お寿司をみんなで食べに行く予定なんですよ。ね、秀一さん」
「あぁ、今日は家族だけで過ごそうって言ってたからな。まぁあのおふくろ達なら言いそうな事だが」
笑いを含みながら話す零達。優作と有希子はその笑顔を見てホッとした。一時期情緒不安定状態に陥っていた2人を知っているから、零達の幸せそうな笑顔を見ると有希子たちまで幸せな気持ちになれる。
本当なら今日、4人で誕生日会をしようと企画した有希子たちだったが、それは口に出す間もなく、音も無げに消え去った。今はこのふたりの笑顔が見られるだけでいいと思い、口を閉ざした。

授業が終わり、下校時間になったので、4人で少し寄り道をして帰った。
家に帰宅すると服を着替え、保育園に真純を迎えに行った。
「真純ちゃん!」
「帰ろうか、真純」
毎度の事ながら、零と秀一が真純の名を呼んだ。子供たちが騒ぐ教室の中、零と秀一の声を聞き取った真純がこちらに駆け寄ってきた。
「零姉、秀兄!」
「迎えに来たよ!用意して帰ろう?真純ちゃん」
「うん!今日ママ達帰ってくるの早いって言ってたし、1週間ぶりにパパにも会える」
何てウキウキしながら荷物を用意する真純を見て、秀一たちは顔を見合わせて笑う。
保育園の先生達と少し話をしてから、保育園を出て家への帰路についた。
そんな時だった・・・。零の携帯に警察から電話が入ったのは・・・。
電話の内容は、零の両親の死を告げる内容だった。秀一にもFBIからの連絡が入った。
秀一の父こと赤井務武が、ある組織の潜入捜査で殉職した、と言う内容だった。
秀一は放心状態に成りながらも涙に暮れる零と、零につられて泣き出した真純を支え、何とか家まで帰った。
家に帰ると、仕事用のスーツを身に纏ったメアリーが居た。
零の姿を見たメアリーは零に近寄り、零を力いっぱい抱き締めた。
「零、貴方は今日から私達と暮らそうね。零のお母さん達はなくなってしまったけれど、私が責任もって面倒を見るわ。だから、辛い想いをするかも知れないけど・・・」
メアリーの声は今までに無いくらい震えていた。当然だろう、メアリー自身も大切な人を失ったのだから。

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