マイフレンドD

□〜君と僕が幸せになれる方法〜 第7話 前編
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中一の夏、零のクラスに男子の転校生が入ってきた。面倒くさいことに、その男子・・・山本裕人と言うのだが、山本は零に一目惚れをした。
何度も告白を断られてるのにも関わらず、何度も話しかけられているし、零には傍迷惑な話だ。秀一は俺の恋人だと言えばいいと言うが、秀一に迷惑を掛けたくない。零は何とか自分で諦めさせたいと思い行動したが、駄目だった。
「有希ちゃん、どうすればいいですかね‍?」
「うーん、やっぱり秀ちゃんに頼るしかないわよ。零ちゃんは迷惑を掛けたくないって言うけど、付き合ってるんだから、迷惑を掛けるのは当たり前よ!山本くんには零が秀ちゃんの女だって分かればあいつだって諦めるでしょう」
そうと決まればさっさと秀ちゃん達を呼んで作戦会議と行きましょう。
有希子が携帯を取り出している所を見て、もう止められないなとため息を付く。
確かに有希子が言う通りに秀一を頼ればいいのかもしれない。だが零の本心は秀一に迷惑をかけたくないのだ。人をどう頼ればいいのかもよくわからないし、甘え方も知らない零が下手な事を言って、秀一を困らせたくない。
それから数十分が立ち、有希子に呼ばれた秀一と優作が有希子の部屋にきた。
「さぁ、作戦会議と行きましょうか」

「秀ちゃんや優作も、零ちゃんが山本くんに言い寄られているのを知ってるわよね」
「あぁ」
「知ってる」
作戦会議を始める前に、聞いた有希子の質問に優作と秀一が答える。それはそうだ、秀一にとっては零は最初で最後の恋人だし、その恋人を目の前で口説かれて、気を悪くしないわけが無い。秀一は零以上に腹が立っているし機嫌が悪いのだ。ただ顔に出さないだけで。
「そのことに関してはくびれを切らしていたんだ。零は俺に何の相談も無いし、一度も俺に頼ろうともしてくれないからな。頼ろうとしても、迷惑をかけたくないの一点張りで。もっと俺を頼って欲しかった。そんなに俺が頼りないのか‍?」
秀一に俺が頼りないのかと聞かれ、そうじゃないと首を振る。ただ、秀一に迷惑をかけたくなかっただけなのだ。零は涙目になりながら下を向いた。そんな零を見ていた秀一が、零に駆け寄り隣に座って零の肩を抱いた。
「すまない、零。泣かせたいわけじゃないんだ。でも少しは俺を頼って欲しかったんだ。他の人よりも先にな」
「だって・・・、秀一さんに迷惑かけたくなかったから。嫌われたらどうしようって、思って・・・」
初めて聞いた零の本音に、秀一は唾を飲んだ。
他の男の話で悩んでいるだなんて、秀一に言えるわけ秀一に言えるわけがないのだ。ましてや自分の口から、何て。
秀一は零の気持ちも考えず、零を責めてしまった浅はかな自分を責めた。
「ちょっと!秀ちゃん。取り敢えず零ちゃん慰めてきてくれる‍?」
「了解した」
有希子に言われ、有希子の隣の部屋に案内されて、二人きりになった。
「零、すまなかった。零の気持ちも考えずにあんなことを・・・」
腕の中でしくしくと泣く零に秀一は優しく語り掛けた秀一の声が聞こえて、涙目になった零が顔をあげる。やっと顔をあげてくれた零の目元を拭いながら、言葉を続ける。
「なぁ零。俺は、さっきのような事で零を嫌いになんてならないぞ。そんな軽い気持ちで零と付き合ってるわけじゃない。それは勘違いしないで頂きたい。零の事は俺が誰よりも分かっているつもりだ。だから、そんな事で嫌うはず、無いだろう‍?」
秀一を見つめていた零が会話の合間に頷いて、最後の問にはごめんなさい、と謝った。
「わかってるよ。すぐに変わらなくてもいい。俺はずっと零の傍に居るからな。頼りたい時は何時でも頼ってくれればいい」
秀一のいつでも頼ってくれればいい。という言葉に涙が溢れた。そんな零を秀一は優しく抱きしめた。
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