マイフレンドD

□〜君と僕が幸せになれる方法〜 第5話
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有希子に行った通り、秀一と一緒にジュースを買いにでた零は、零の企みに気づいた秀一に理由を聞かれていた。
「どうしてこんな時間に‍?飲み物は沢山ある、と有希子も言っていただろう?・・・何か理由があるのか‍?」
「えぇ、そうですよ。秀一さんを連れて出
たのもそのためです。有希ちゃん達を2人きりにする為にね」
「・・・ほぉー。なら俺達も少し2人で過ごしてから帰ろうか」
「はい。私もそう思ってた所です」
利き手同士で手を繋ぎ、指を交じ合わせ、世にいう恋人繋ぎをして歩幅を合わせて歩く。
有希子の家の近くにある公園のブランコに2人で乗る。春になったとはいえ、やはり寒い。それにお風呂上りだから、頬を擽る風が冷たい。零が腕を摩って暖を採ろうとしていると、それに気づいた秀一がパーカーを脱いで、零の肩にかけた。
「寒いだろう‍?」
「でもこれじゃぁ、秀一さんが寒いでしょう‍?」
「じゃぁ零、俺の膝の上に乗らないか‍?それなら寒くない」
秀一が膝の上をポンポンと叩きながら誘う。零はその誘いに少し照れながらも答え、秀一の膝の上に乗ると、後ろから抱き締められた。小学三年生からあっという間に身長が伸びた秀一は、今の所160センチは有にある。その分腕も長いから、小柄な零は秀一の腕の中にすっぽり収まっていた。
密着している分身体が暖かく感じ、相手の体温も感じられる。一石二鳥だ。
ふと前の時の事を思い出してしまい、零の身体が強ばった。その事に気づいた秀一が零を気にかける。
「零‍?どうかしたのか‍?」
「赤井・・・怖いよ。赤井が居なくなったらって思ったら、急に・・・身体が震えて」
パニクった零は秀一を赤井と呼び、怖い訴える。今までにないほど怯えている零を抱えてブランコから降りて、ベンチに座って震える零を抱きしめた。
そして優しく零に言う。
「俺は零を残して居なくなったりしない。こんな可愛い零を残していく、何て考えたくもない。・・・それにな、零。零には言ったことは無かったが、俺もこれでも怖い。あの時だってそうだ。零が目の前で殺されていたら、俺は零以上に本当に怖かった。組織を壊滅する時だってそうだったんだ。もし俺が離れている間に零が殺されていたら、もし俺が知らない間に零があいつらに捕まっていたら・・・。考えたくもない事をずっと考えて、零が居ないところで何度も不安になっていた。零と同じように俺もどうしたら良いのか分からなくなる。以前の俺は零と同じように沢山の大事な人を失っていたし、その分今隣にいる零まで居なくなったらどうしよう。その時俺はどうしているのだろうって・・・」
秀一が零と同じように、嫌、それ以上に零が居なくなったらどうしようと考えていることを知って、自分が凄く秀一に愛されているのだと感じた。涙を流している秀一を愛情を込めて抱きしめる。
「ごめんなさい、秀一さん。私、秀一さんが隣にいてくれるって分かってる。だからもう、自分を責めないでください。わたしも不安になる事があってもその分今、この時に秀一さんに愛されていて、そばに居てくれるんだって思うからもう・・・」
責めないで、と言った言葉は口の中でとどまった。秀一が辛そうな顔を浮かべて言葉を紡ぐ零を見たくなかったから、零の唇を塞いだのだ。だから、それ以上紡ぐ言葉は無かった。秀一が、唇を離すまでは。
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