マイフレンドD

□〜君と僕が幸せになれる方法〜 第3話
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退院してから1ヶ月は、家で過ごすようにと言われた秀一に付き添い零も1ヶ月学校を休んだ。両親には怒られるかと思ったが、好きにしなさいと言われた為秀一と一緒にいることにしたのだ。
秀一の状態も段々落ち着いてきたし、零の方も情緒不安定だった感情もやっと治ってきた。最初の方は秀一が隣にいないと泣いて探し回るくらいだったのに、今はトイレにいる時だけ離れるくらいだけだったら大丈夫になってきていた。
それに泣いて震えるような事も無くなってきていて、零の精神が落ち着いてきた。
短く感じた一ヶ月が終わり、零の方はまだ万世では無いが学校に通い始めた。
秀一にとって零の事は大切でまたあんな状態になることを恐れ、ずっと一緒に居た。授業中も席の隣に座り、授業は耳半分でずっと零の方を見ていた。
「秀一くん、ちょっといいかな‍?話があるんだけど」
そして昼休み、零と一緒に喋っているとジェミーが話しかけてきた。秀一には関係ないが、クラス1の美少女と言われるくらいの可愛い女の子だった。そんな彼女の顔や話し方を見て零は彼女が話したい事について感付く。言ってこいと、背中を押そうとしたが、先に感づいていたらしい秀一が立ち上がった。
「すまない。俺は君に興味はない。好かれるというのは嬉しいが、君を好きになることは1ミリたりともないと誓おう。俺の中でずっと恋焦がれ、愛しているのは零だけだ。彼女は君なんか見及ぶことが無いほど綺麗で優しくて、嫌ったヤツはとことん嫌いで、好きになったやつはとことん守る様な奴だが、君なんかよりも素直で、誠実だ。
それに零が同じ気持ちを返してくれる。それだけで嬉しい。拙い声で俺の名を呼び、俺の大好きな笑顔で微笑んでくれ、俺を愛しているのだと分かるくらいそばにいてくれる。言葉にしてくれる。愛しているからこそこんな気持ちになれるのだ。俺の愛している人は、最初で最後まで愛し続けるのは零だけだ。ほかの誰にも及ぶことはない。隣にいて安心していられるのは零だ。君には絶対に絶対に及ぶまい。たったひとつの俺の心に咲く奇跡の花なんだ。零という花はな」
告白を断った上に自分の大切な人の、零のことをどれだけ好きが、零がどれだけ可愛いかを暴露し、二の句が上げられなくなったジェミーをほっといて、零の方に向き直ると、零が涙を流していた。実はさっきから泣いているのを気づいていた秀一は零を抱き上げ自分の首に腕を回させると、二人でいられる場所に移動した。
未だに涙を流している零を抱きしめて椅子に座らせ向かい合うと、零に何で泣いているのかを聞いた。
「・・・らってー、秀一さんが、・・・ヒック・・・生きているんだと思ったら・・・安心して・・・ヒック・・・それに、秀一しゃんが・・・んっ・・・愛してるって・・・私のことを大好きだって言われて、・・・秀一さんを傷つけちゃったのに・・・。何で私なんか・・・。好きだって・・・ヒック・・・いってくれるの‍?」
泣いて、しゃくりあげながらも、秀一に伝えようとする零を抱きしめて居ると、私なんかという声が聞こえて、秀一は訂正した。
「何を馬鹿なことを言っているんだ、零。私なんか、じゃなく、零だから良いんだ。決まっているだろう。俺は零だから愛しているんだ。それに怪我をしたのは零のせいでは無いよ。この傷は君を守った勲章だ。立派な傷だろう?君を守った証があるというのは、俺にとって誇りだ。零、俺に君を守らせてくれ。今回みたいなことは絶対にしないと誓う、だから」
君のそばで、君を守らせてくれないか?
秀一に涙を流しながら言われ、零は微笑みながらも頷いた。

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