マイフレンドD

□〜君と僕が幸せになれる方法〜 第2話
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翌日、目を覚ました秀一が一番最初に見たのは、自分の手を握って眠っている零の姿だった。目には涙を貯め、頬には泣いた痕があった。右手で泣いた痕のある零の頬を撫でる。
そうすると浅い眠りについていた零の目が覚めた。秀一の姿を見た零は涙を流して、秀一の名を呼んだ。
「秀一さん、・・・秀一さん・・・!」
秀一が生きている事がわかって、抱きしめようとしたが遠慮する零を、傷が開かない様に、それでも強く秀一は抱きしめた。
腕の中に収まった零は心做しか震えていた。自分が秀一を傷付けたのだと想っているんだろう。零の思った事が手に取るように分かる秀一は零を抱きしめながら、泣いていいと囁く。よっぽど我慢してたんだろう。絶対に泣くまいと。押さえ込んでいた涙が次々と零の頬を伝う。
「っ秀一・・・、いきて、て・・・ヒック、・・・良かった・・・ほんと、に、ヒック、怖かった、だから・・・しゅうい、しゅういち〜」
嗚咽を漏らしながらも零が告げた言葉には胸に刺が刺さったかの様に秀一の胸も苦しくなった。それ以上に苦しかっただろう零をギュッと強く抱きしめて、済まないと謝った。愛しい秀一を失われそうになった零に何と声を掛ければ良いのかわからなくなり、零の不安要素を無くすように、俺は生きているんだと、秀一は何度も伝えた。そして誓った。もう二度とこの可愛い恋人を悲しませないと。

秀一の退院日には何度も拒否したはずのFBIの人たちが来ていた。秀一本人にちゃんと謝りたいと・・・。身体が今にも震えだしそうな零を両親に頼んで車に乗せてもらい、秀一はFBI捜査官の方々に向き直った。
「済まない、赤井秀一君。今回君が怪我したのは我々の責任だ」
「それは俺自身、気にしていません。それに、貴方達の責任ではないです。俺の大切な人・・・、彼女を命に変えても守りたいと思っただけです。彼女は以前、このような体験をした事があるので、俺が亡くなるのが怖いんです。ですから、俺を傷つけた人を許せないんです。今回の事で、自分が軽率な行動をしたせいで俺が死にかけたと、自分を責めています。貴方方の謝罪を断ったのも、自分が俺を傷つけたことを思い出す事になると、自分の心がこれ以上折れてしまわないようにと思った結果です。今まで以上に今は精神が弱っているので、しばらく俺にも彼女の前にも現れないで下さい。お願いします」
秀一は頭を下げてお願いをした後、FBIの捜査官に背を向けて零が乗っている車に向かった。
「大丈夫か?零」
「・・・ちょっと大丈夫じゃないかも、です。ごめんなさい秀一さん。FBIの皆さんには迷惑を掛けてしまって」
自分の悪い所を反省し、震えながら言う零を抱き締め、秀一は零が落ち着くまで背中を撫でていた。
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