マイフレンドD

□〜君と僕が幸せになれる方法〜 第1話
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降谷が目覚めた特、最初に見たもの・・・・、それは幼い赤井の姿だった。子供の頃から隈が出来ていたのか・・・、降谷はそっと赤井の目元に手を伸ばそうとして、目を見張った。
赤井だけではなく自分も小さくなっている事に気が付いたからだ。しかも降谷は女の子になっていたのだ。驚かない筈がない。
これは夢かと頬を抓ってみるが、つねった頬が痛く、夢ではないことに気づく。
自分が世にいう逆行という奴になったのか、と冷静になった頭で推理した。原因は前世で降谷零として生きていた事をちゃんと覚えているからだ。前世なのかはまだ分からないが取り敢えず目の前にいる赤井を起こそうと、降谷は小さな手で赤井の体を揺すり、赤井の名前を呼ぶ。
「赤井、起きてください。赤井!」
何度か呼びかけ、ようやく赤井が目を覚ました。前の時と同じく、赤井は朝に弱いらしい。寝惚けた赤井を見て降谷はそう思った。
ようやく、頭が冴えてきたのか、赤井が降谷を見て驚いた顔をした。
「零、零なのか‍?」
驚いた顔をして赤井が降谷の名を呼びながら、降谷なのかを確認してくる。降谷は赤井の言葉に何度も頷いて、赤井も前の記憶があるんだと認識した。赤井は以前の・・・、赤井の恋人だった降谷だと分かると、小さな体で降谷を抱き締めた。そんな素直な赤井の行動に、涙を流しながら応えた。
抱きしめ合いながら赤井が死んだ時のこと、赤井の方が先に記憶が戻っていた事を聞い‍た。降谷も自分が赤井と同じくらいに死んだという事を伝えた。
そうこうしていると、自分達がまだ起きてこないことを心配した両親達が部屋に来た。
「秀一、起きていたのか?」
「零も起きていたのならリビングに降りてきなさい。いつもなら早起きなのに、降りてこないから心配したでしょう‍?」
双方の母親の後ろには父親たちの姿も見える。幼い頃に見た時の両親のありのままの姿に降谷は涙が零れそうになった。取り敢えず涙をこらえながら両親たちに応え、一緒にリビングに降りた。
赤井家のリビングで、降谷は何十年ぶりかの家族の団欒を楽しんだ。赤井にこちらの状況もちゃんと聞いたから、子供らしく振舞った。
ご飯を食べ終わったあと、話したい事があるという赤井と一緒に部屋に戻った。
「話というのはこれからの事なのだ。俺が知ってる中でなくなっているのは、明美、スコッチ、イーサン本堂なんだが、君はほかにも助けたい奴がいるだろうから、今のうちに聞いておこうと思ってな」
赤井が話した内容は、助けたい人たちの事だった。降谷は自然に下を向いてしまう。まだ二人共四歳児なのに、未来のことを知ってしまっている以上は、避けては通れない道だった。降谷にとっても赤井にとってもなのだ。降谷はいを決め助けたい人の名前を上げる。
「僕が助けたい人は、まず先に上げるとしたら、確かにスコッチです。あと、警察学校で同期だった、伊達や萩原や松田・・・。それにエレーナ先生も。後は・・・
赤井の事を命を懸けて守りたいんです。なんとしても、自分の命を懸けてでも」
そう、確かに降谷が助けたい人の名を出すとしたらスコッチだ。でも、守りたい人の名前を出すのならそれは、降谷にとって最愛の人である・・・、今目の前にいる赤井なのだ。赤井だけは、自分の命にかえても守りたい。もう二度と赤井とは離れない。
そう思ったからこその降谷の言葉だった。
降谷の言葉に涙を流しながら、赤井が降谷を抱きしめた。赤井は守られるようなヤワではないが、降谷に守られると言われたことは赤井にとって初めてなのだ・・・。だが、赤井は降谷に言う。
「命に代えてはダメだろう。俺はそんなに弱くは無いぞ。だが、俺を守るべき人間だと認識していてくれたのは嬉しかった。ありがとう、零。俺も何があっても零を守りたい。それこそ命が尽きるその日までずっとだ。零、将来俺と結婚してくれないか?俺が十八になってからでいい。だから・・・」
赤井は守られるような器ではなく、守る方がしょうに合っているらしい。降谷は耳元で聞こえる赤井の吐息、声が、今赤井が生きている事を知らせてくれて嬉しくなった。降谷を守ると宣言した後で告げられた言葉に息が止まった。赤井が告げた言葉は、結婚しようという、プロポーズの言葉だった。以前にも赤井にプロポーズされた事は有るのだが、まだ組織の件もあったし、生き残れるかもわからない状態簡単に返事を出来なかったのだ。でも今は、同性という壁を乗り越え、降谷は女性になった訳だ。確かに二人共、赤井はFBI、降谷は公安に勤務する事になり、黒の組織に潜入捜査をすることになるだろう。・・・でも今回は降谷は泣きながらプロポーズを受けるために頷いた。前回では、悪態づいてひどく赤井を傷付けてしまったのだ。だから断られるだろうと思っていた赤井は面を食らっていた。少しの間だったが・・・。プロポーズを受けた降谷は、嬉しそうな顔をしている赤井を、意をけして下の名前で呼んでみた。
「しゅ・・・しゅういちさん・・・」
降谷が赤井を下の名前で呼ぶと驚いた顔をした赤井が降谷を見つめた。初めて下の名前で呼んだ降谷を珍しいと言わんばかりの顔で、降谷の名前を呼ぶ赤井に、もう一度下の名前で赤井を呼んだ。
「秀、一さん。・・・これからはこう呼んでも良いですか?二人でいる時だけですけど・・・。親達の前では真純さんが呼んでいたみたいに秀兄かシュウと呼んでも良いですか‍?」
赤井の名を下の名前で呼びたいと言う可愛い恋人を邪険にする程馬鹿ではない。
赤井は降谷の申し出を快く受けて、言葉を紡いだ。
「秀兄より、シュウの方がいいだろう。記憶を取り戻すまではそう呼んで居たからな。俺は今まで通り零と呼ぶから」
そういった赤井の頬が、ほんのり赤く染まっていた。降谷は赤いの言葉に頷いた。
夜になり、晩飯を食べ終わった2人は両親に言われてお風呂に入ることになった。四歳児二人で入るのはなかなか手間がかかったが、ゆっくりと二人で湯船に浸かった。二人で入るのは初めてではないが、こうやってゆっくりと入るのは初めてだった。幼児用だが・・・。
「なぁ、零。俺はやはりFBIに入ろうと思っている。組織の潜入捜査もあるから、下手なことをされても困る。だからFBIに入る。
君はどうする‍?」
赤井が話し出したことは、自分が所属していたFBIにもう一度入るということだった。
降谷もそれは承知の上だった。だからあえて驚くことも無く聞いていた。そして、降谷もどこに潜入するのかを聞いてきた。それは決まっている。
「公安です。それは変えるつもりはありません」
赤井に断言した降谷の顔は笑っていた。

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