マイフレンドD

□夢の中で
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お参りが終わった後シャロンと共に家に帰ってきた。
私は疲れたのか、帰ってからすぐ眠っていた。

多分それは夢だと思う。
気づいた時には目の前に明美がいた。私の髪を撫でてくれる。優しい顔をしながら、だ。
『明美が何でここに・・・‍?』
私は手話で何でここに明美が居るのかを聞いた。明美は私の質問に答える前に、苦い顔をしてから手話で答えてくれる。
『零、今日私のお墓の前で言ってたでしょう?秀くんが好きなんだって。でも、私が嫌だったら告白するつもりは無いって』
そう言われてコクンと頷いた。そうだ、私は確かにそう心の中で伝えたんだ。
頷いたのを確認した明美が、私に伝える。
『だから、零に会いに来たの。私の可愛い妹みたいな零に伝えにね。
確かに私は秀くんが好きだったよ。でも振られてるの。妹みたいにしか思えないって。
零、出来れば零が秀くんを幸せにして欲しいの。ううん、2人で幸せになって欲しい。だから私が秀君を好きなのは忘れて幸せになって欲しい。
零は幸せになるべきなのよ?
こんなに可愛くて、優しい零が幸せにならなかったら私は秀君を呪うかもね。何で幸せに出来ないんだって』
ジョークを交えながらいう明美に涙を流しながら笑った。
明美はやっぱり、優しいなぁと思いながら、私が告白して秀一さんをしあわせにしてと頼む明美に頷いた。
『ありがとう、零。じゃぁまたね』
私が返すまもなく、明美は私の前から去っていった。

そこで目が覚めると、キッチンからいい匂いがしていた。
私がキッチンまで行くとそこにはシャロンがいた。
「何を作ってるんですか?」
当然声は自分には聞こえないが、自分の声で喋る。シャロンがこっちに気づいて手話で答えた。
『今日はカレーライスよ。零好きだったでしょう?零のお母さんに聞いたわよ』
何ていうシャロンは笑っていた。高校にいた頃美人で凄く男子に告白されていて、私を抜いた女子達にいじめられていたのだ。だからこんな笑顔をいつも見せてくれるシャロンにはちゃんと幸せになって欲しいと思う。
私の好みを覚えていたんだ、と感心した私はシャロンにありがとう、と告げた。
『ていうか寝ていてごめんね。久しぶりに熟睡しちゃってました』
『えぇ。よく寝てたわね。謝るようなことじゃないんだから気にしないで、零』
手話で返して来ながら料理を作っているシャロンのために、カレーを入れる皿と、シャロンが今作っているサラダを入れるための皿を取り出した。
『シャロン、これ』
持っていた皿を机の上に置いて、手話で伝える。
『Thank you、零。向こうで座ってて、もう出来たから』
『了解』
笑いながらも答えると、リビングの机の近くにある椅子に座った。
しばらくしてこちらに来たシャロンとご飯を一緒に食べて、シャロンと共に笑った。
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