マイフレンドD

□想い人は君。
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俺は降谷くんが好きだ。残念ながら初恋、ではないが今まで付き合ってきた誰よりも安室くんの事を思っている自信がある。
そりゃぁ、明美を失った時は結構堪えた。でもそれは恋人を失ったというより、家族を失った様な感じだ。

昨日、降谷くんと飲みにでかけた時、降谷くんと賭けをした。
賭けと言っても、そんな大したもんじゃない。
俺が好きな人に1週間以内に告白しろと言う事だそうだ。
ちなみに俺が出した降谷くんへの賭けは、好きな奴の手を1週間以内で握ること。
今思えば、俺も降谷くんもまだ子供だったのかもしれないな。
苦笑しながら、ふと目に入った時計を見て約束の時間1時間前と言う事に気がついた。
服を着替えて財布とケータイを持ち、少し早いが出ようか、と時計を見て思うと、家を後にして愛車のマスタングに乗り込んだ。

待ち合わせ場所に着いたのが、三十分前だった。
言い忘れていたが、今日は降谷くんとショッピングをするために来ていたのだ。昨日、酒を飲んでいる際にショッピングでもしないか、と持ちかけると快くOKしてくれた。
そして、待ち合わせ時間十分前になると、降谷くんの姿が見えた。

「降谷くん、こっちだ」

「あっ、赤井。時間より早く来たつもりなんですけど・・・」

「あぁ、まだ十分前だが・・・」

「行きましょう、赤井。荷物持ち、お願いしますね」

降谷くんは俺に荷物持ちをお願いすると、助手席に乗り込んだ。上機嫌な降谷くんを見て苦笑すると、運転席に乗り込み、エンジンをかける。

「どこから回る‍?」

「えーっと、そうですね・・・。あっ、じゃぁ」

と降谷くんが言った場所に向かい車を走らせた。
十分程して目的の場所に着くと、降谷くんが先に車を降りた。
降谷くんが行きたいと言ったのは、良くあるシマ〇ラだった。何でも、仕事が忙しくて行ったことがない、と言うことらしい。
車から降りて鍵を閉めると、降谷くんの後を追って店内に入った。

「赤井、早く来てください!」

ハンガーに掛かった服を持った降谷くんが、早く来い、と呼ぶところまで向かい、降谷くんの隣にたった。
隣まで行くと、ハンガーを身体に押し付けられた。

「赤井、これ持っててください」

「了解」

降谷くんに言われ、ハンガーにかかった服を受け取った。降谷くんは俺が持ったのを確認するとまた、服を選び始める。これもいい、あれもいい、と言って何着か選び終えると、降谷くんは会計に向かった。

袋を買い終え、今度は俺の服を選びたい、と言い出した降谷くんと一緒に別の店に向かった。
数分でその場所にいた。降谷くんと一緒に店に入り服を見る。

「赤井のイメージだと・・・」

言いながら服を選んでいく降谷くんの顔は、笑顔だった。カメラに収めたいほどの美しい笑顔。

「聞いてるんですか、赤井!」

降谷くんに見とれていると怒鳴られて、聞いているのかと尋ねられ、謝る。

「すまないな、聞いてなかった」

「だと思いました。取り敢えず、コーデしてみたんでこれ着てみてください」

そう言って渡された服を受け取って、試着室に入りその衣装を見に纏うと降谷くんに見せるために一旦外に出た。

「どうかな?降谷くん」

「・・・かっこいい」

感想を聞くと小さな声で確かにかっこいいと聞こえた。
気を取り戻した降谷くんが、服の感想を述べる。かっこいい、と言ったことを忘れたかのように。

「まぁまぁ、いいんじゃないんですか。僕が選んだんだから、当然ですけどね」

「ありがとう、降谷くん。代金は選んでくれたお礼に俺が払おう。俺の服だしな」

一度来ていた服を脱いでハンガーにかけ直すと、自分の服に着替えて、ハンガーに掛かっている服を持って、会計に向かった。

「お友達、センスいいんですね」

「あぁ、俺よりは大分センスがいいんだ」

何て店員と言葉を交わし買った服を受け取ると、出入口付近で待っている降谷くんのところまで行く。

「次はどこに行く‍?降谷くん」

「じゃぁ・・・。スーパーに行きましょう」

「スーパーに‍?」

疑問が残るが、いつも通っているスーパーに向かった。スーパーに着くと、車から降りて店内に入る。

「赤井、カレー作ってくれませんか?」

降谷くんにカートを押しながら言われて、頷く。の前に、俺は降谷くんに問いかけた。

「それはいいんだが、今日か‍?」

「えぇ、晩御飯に久しぶり赤井のカレーが食べたいんです。ほら、赤井が沖矢さんになりすましてた頃、食べさせてくれたでしょう?
カレーは僕が作るのより、赤井のがいいんです。ダメですか?」

問いかけると、どうしても俺のカレーが食べたいと言う上に、ダメですかと頭を傾ける降谷くんに断れるわけがない。
カレーは俺が作るとして、場所は何処にするんだ。

「降谷くん、作るのはいいんだが、何処で作るんだ‍?」

「それはもちろん赤井の家ですよ。僕の家、片付けてないんで散らかってるんです」

「了解」

答えるや否や、食材を淡々と選んでいく降谷くんの後を追った。

買い物が終わり帰った時はもう17時を過ぎていた。降谷くんにソファーに座るように言うと、買い物袋を持ってキッチンに向かった。カレーの準備をするためだ。
じゃがいも、人参、玉ねぎの皮むきをして食べやすい大きさに切る。
豚肉と人参、玉ねぎを炒めて、水とじゃがいもを入れて煮込む。
煮込み中に使ったものを洗って片付けておく。
時間が余っているので、台拭きを濡らして机の上を拭いた。

「赤井、結構几帳面なんですね」

「まぁな。沖矢になっていた頃のくせが付いたんだろう」

「へぇ〜そうなんですか。確かに、新一くんの家を借りてましたもんね」

「あぁ、だから使ったものとかはすべて片付けなければ行けなかった。まぁ今まで大雑把に片付けていた分、清潔感があるな」

「赤井って血液型、何型ですか?」

「俺はA型だな。降谷くんは‍?」

「O型です」

新たな発見を見つけた。というより、血液型を聞いたのは初めてだったか、と今になって思い出す。
机を拭き終わるとキッチンに戻って台拭きを洗い、流し台のところにかけた。
鍋のふたを開けるとおたまと箸を持って、じゃがいもと人参の硬さを確認する。

「良し」

硬さがいいぐらいになったのを確認すると、固体のカレールーの素を4分の一に割って入れる。
今日のカレーは何時もより甘めで、中辛と甘口を半分ずつ入れている。いつもなら、自分用に作るので中辛なのだが、彼は甘党なのだ。仕方がない。

そして十分後、カレールーが出来、ご飯を皿に継いでその上にカレールーをかける。
2人分を準備すると、もう一つ小皿を出して、それに福神漬を入れた。
先にカレーライスが乗った二つの皿をリビングの方へと持っていく。その後に、福神漬とスプーン二つを持ち、リビングへと戻った。

「赤井、出来たんですか?」

「あぁ。準備出来たんで、ご飯を食べようか。降谷くん」

「はい!」

リビングの椅子に腰を掛けて、二人でいただきますをすると、ご飯を食べ始める。

「美味しいです!さすがですね。煮込み料理だけは赤井に負けるなぁ・・・料理」

なんて言いながらも、笑顔でご飯を食べる降谷くんを見て心が暖まった。


ご飯を食べ終わって少し経つと、家に帰ると言い出した降谷くんを送るために車に乗った。

「送りまで頼んですみません」

「いや。元はといえば俺が誘ったんだ。気にするな」

それから降谷くんの家に着くまで無言だった。何度も喋ろうとしたんだが、沈黙がそれを許さなかった。俺は家につき、車を降りようとした降谷くんに言う。

「降谷くんの休み最後の日・・・。つまり5日後、君に話したい事がある。東都水族館に一緒に行ってくれないか‍?」

「・・・、はい。わかりました。5日後ですね」

「あぁ、5日後だ」

そうして降谷くんと別れると、俺は家に帰ることにした。

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