マイフレンドD
□好きです、秀一くん(終)
1ページ/1ページ
秀一くんにプロポーズされて、半年が過ぎた。
ん?何で秀一くん。って呼んでるかって?
それは・・・。
今から二か月前の事。
その日は久々の休みを2人でとって、家でのんびりとしていた。ソファーに座って、赤井の膝の上に頭を置いて寝転んだ。
上を見ると赤井の顔が見えるから、実は私にとってお気に入りの場所である。
「なぁ、零。もうすぐ俺達は夫婦になるんだぞ?その、赤井、と呼ぶのはそろそろやめないか?」
私の髪に指を絡めながら、優しそうな顔をして赤井がいう。
確かにそうだ。結婚してからも赤井、と呼び続けるのはちょっとおかしいよな。何て苦笑しながら、じゃぁ何て呼ぶんだ?と考えた結果・・・。
「じゃぁ、秀一くん。でいいですか?」
「君付けか・・・。良いな、新鮮で。周りにそう呼ぶのは1人もいないから、うん、そう呼んでくれ」
「ありがとうございます。秀一くん」
私が笑顔で名前を呼ぶと、何だ?と秀一くんも微笑んで答えてくれたのだ。
・・・というわけで、赤井のことは秀一くん、と呼ぶ様になった。
話は変わるが、今日は秀一くんと一緒に婚姻届を出しに来ていた。実はだいぶ前から婚姻届には名前を書いて印鑑を押していたのだが、なかなかお互いの休みが合わなくて、二ヶ月以上たっていたのだ。今日はその、やっと二人の休みが重なり、婚姻届を出そうと持ってきたのだ、市役所に。
もう1度書き忘れたところは無いかと確認すると、保証人の名前に誰も書いてない事に気がついた。
「秀一くん、大変ですよ。これじゃ出せません」
「ん?何があったんだ?零」
「保証人の欄に名前、書いて貰ってません」
「あ・・・」
秀一くんもこちらに来て婚姻届を見て唖然とした。一体誰に、と思った所である二人の顔が思い浮かんだ。
「ごめんね?二人とも。突然呼び出しちゃって」
「いいんですよ、降谷さん。ていうか、僕の方から願い出ようかと思ってました」
「すまないな、志保」
「いいえ、零さんに頼まれたら断れないわ。それに工藤くんと同じよ。私も一緒に願い出ようかと思ってたの」
そう、思い浮かんだのは新一くんと志保さんの顔だった。この2人には、何かとお世話になったからな。
秀一くんも同じ様に思ってた見たいで、二人を呼び出したらすぐに来てくれた。
「そうそう、僕達のも書いて貰っていいですか?」
そう言って新一くんが出したのは、夫の欄に工藤新一、妻の欄に宮野志保と書かれた婚姻届だった。
ついに2人も結婚するのか、何て思いながら受け取る。
「もちろん。君たちの結婚だよ?祝わない理由には行かないよ」
「ありがとうございます、降谷さん。赤井さんも書いてもらっても?」
「あぁ、もちろん。零同様、君達の結婚を祝いたいからな」
何て返す秀一くんに私は微笑みながら、保証人のところに自分の名前を書き入れると、ペンと婚姻届を秀一くんに渡す。
秀一くんも自分に続いて、赤井秀一と自分の名前を書き入れる。
「新一くん、できたぞ」
と秀一くんが持っていた婚姻届を新一くんに渡す。
志保さんが私に婚姻届を渡してくれた。
「零さん、赤井さん。ご結婚、おめでとうございます」
「ありがとう、新一くん、志保さん」
「ありがとうな」
そうして婚姻届を出し終わり、改めて秀一くんに言った。
「私と、結婚してくれてありがとうございます」
「お礼を言われるような事はして無いよ。俺がしたかったんだ」
「ありがとうございます。改めて言うのもあれなんですけど」
私は少し間をとると言葉を発した。
好きです、秀一くん。