マイフレンドD
□好きです、秀一くん(4)
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今日はポアロが定休日なので、私は必然的に休み。
店長の山本さんには本当によくして貰ってる。私の家族・・・、秀くん達にもお菓子をプレゼントしてくれたり、高校生の秀くんにはノートとシャーペンをプレゼントしてくれたり。
今日は山本さんが主催で、ポアロでパーティを開くことになっている。是非秀くん達も、と言われてお言葉に甘えてパーティに来ていた。
本当はパーティを企画したのは、同じバイトの福島絆愛さんの結婚パーティでもあるらしい。
「こんにちわ、店長」
「あ〜、いらっしゃい。安室さん。秀くん達も、料理沢山あるから食べていってくれよ!」
「あっ、はい。ありがとうございます」
気楽な店長にお礼を言う修くんに続いて、私もお礼を言う。
あたりを見回すと、絆愛さんの姿が見える。
「こんにちわ、絆愛さん」
「あっ、安室さん。こんにちわ」
「この度はご結婚おめでとうございます。これはほんの気持ちです。ケーキなんですけど」
「えっ?嬉しいです!私ケーキ好きなんです」
ケーキが入った箱を渡して、喜んでくれたことに私も喜ぶ。
絆愛さんに一礼すると、壁に凭れて珈琲を飲んでいる秀くんに声を掛ける。
「退屈なんですか?」
「あぁ、いや。周りについていけないだけだ」
「ふふ。貴方らしいですね」
私も秀くんの隣に立ち、珈琲を飲む。
ん、やっぱりここの珈琲が1番かな。1口飲み終わり、胸元まで下ろす。
「ここの珈琲、うまいな」
「偶然ですね、僕も思ってました」
「ほぉ〜・・・。それは偶然だな」
「えぇ」
たったそれだけのたわいない会話だったけど、それだけでも全然嬉しかった。自分が思った事を秀くんが言ってくれたからだ。
パーティも終わり二次会に行くと言う店長たちに、今日は真純ちゃん達も疲れているので次回、こんな時があればご一緒させていただきます。と断りを入れると秀くん達と一緒に帰路についた。
「良かったのか、二次会」
「えぇ。真純ちゃんももう寝てますし、秀吉くんや秀くんだって疲れたでしょう?」
私は、寝ている真純ちゃんを抱き上げながら歩く。
「秀吉くんは眠くないかな?」
私より少し先を歩いている秀吉くんに話しかける。
「あっ、はい。僕は大丈夫です」
少し眠そうに答える秀吉くんを見て、隣にいる秀くんに小声で声を掛ける。
「秀くん、秀吉くん眠そうだから抱っこしてもらえますか?」
「分かった」
秀くんは私の問に答えると、秀吉くんのところに向かう。ちょっと嫌がったみたいだけど素直にだっこされる秀吉くんを見て安心する。
その日の深夜の事、零の携帯にメールが届いた。
メールを送ってきたのは、赤井だった。
零、来月の8日にはそっちに戻る。早く会いたい。
たったこれだけの短いメールに赤井らしさを感じ、無性に笑ってしまう。
今だったら、電話も通じるのだろうか。
赤井の電話番号に電話をしてみる。電話が通じ、ワンコール待ったか待たないかくらいで、電話に出てくれた。
「もしもし、赤井?」
『あぁ、俺だ』
「・・・8日の日、待ってますから。貴方に逢えるのを」
『ありがとう、零。愛してる』
「何言ってるんですか、赤井。私は貴方よりもっとあなたの事が好きですし、愛してますよ」
我ながら、恥ずかしい言葉を吐いてしまい赤面する。赤井にこんなに素直に慣れたのは、初めてだと思うけど、伝えなきゃ行けないのだと言うことは身に染みて分かっている。
「私も貴方に会いたいです、赤井」
そういった途端、身体が浮いたような気がした。これで戻れるのか、と楽観視していたのだが。
今までお世話になった秀くん達に何も言わず帰るのはどうなんだろう、と思うとベットの上に戻ったような気がした。
『零?どうしたんだ?零!』
「あっ、すみません赤井。仕事戻らないと行けないんで切りますね」
一方的に電話を切る。
今の事でやっと戻り方を知った私は、明日秀くんにはきちんと話そうと決めた。