マイフレンドB

□後編 前半
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俺は一週間経って、やっと退院出来て今は快斗との新居に住んでいた。

「快斗、そいえば家族での食事何日だっけ?」

「明後日だよ。お義父さんもお義母さんもその日じゃないと無理だって言ってたから」

「そうだったな。なぁ快斗、男同士でも子供作れんのかな?」

俺が何気なく言った言葉に、ココアを飲んでいた快斗が驚いて吹き出す。
俺は慌てて快斗が零したココアを拭く。
そんなに驚く事なのかって思いながら・・・。

「んなっ、何でっそんなこと思うのかな?新一」

「だって、蘭の赤ちゃん見てたら快斗の子供欲しくなったんだもん」

顔を真っ赤に染めながら言うと、快斗が・・・。

「もうっかわいいなあー。新一は」

と言って抱き締めてきた。
そして耳元で、俺も一緒だよって言ってくれる。

「新一の子供なら絶対に可愛いんだろうね!」

「快斗に似たら、絶対イケメンになると思うな」

「何言ってんの新一!新一に似た方が絶対に可愛くなるってっ!」

絶対ある理由無いのに、笑い合いながら話す俺達。
でもさ、もしかしたら俺達なら不可能を可能にできるかもしれないな。
快斗の肩に頭を凭れさせ、そんなことを考える。

「ねぇ新ちゃん?久々にしない?」

「うん。俺も快斗と繋がりたい」

俺達は啄む様なキスをしながら、ソファーに倒れ込んだ。


そして2日後。
家族揃っての食事で、少し気分が上がっていた。

「なあ、快斗!」

「なぁに?新一」

2人で服を選びながら、俺は快斗にどっちがいいかなと聞く。

「俺的には、青色の方がいいかな?新一の瞳の色と一緒だし」

「じゃぁこっちにしようかな?」

「うん」

そんなこんなで着ていく服も決まり、待ち合わせ場所へと快斗の車で向かった。

予定より、十分早く付いて店に入ると、そこには既に3人とも居た。
快斗と手を繋ぎ、母さん達が座っているところに向かう。

「こんにちは!お義父さん、お義母さん。それに母さんも」

快斗が挨拶して、俺もその後に挨拶する。

「久しぶり、父さん母さん。そして初めまして、お義母さん」

「初めまして!快斗の母の千景です!」

お義母さんと初めましての挨拶をして、俺達も席に座る。

「新一、何頼む?」

「うーん、じゃぁ」

2人でメニューを除きながら、俺は食べたいメニューを指差す。
両親達が微笑みながらこちらを見ているが、気にしてない。だって快斗と居られることが幸せなんだもん。

「新ちゃんが幸せで何よりよね、優ちゃん!」

「そうだな。俺達が夢の中に入ったって言うのは新一には内緒だけどね」

何て、父さんたちが話している事は露知らず、俺は笑顔で快斗と話していた。

「快斗!そういえばな、明日ある人がくるんだ。昨日連絡を貰ってな!
それと、その人快斗にも会いたいらしいんだ」

「その人って?」

俺は快斗の耳元でその人の名前を囁く。
快斗はその名前を聞いて、驚いたような顔をした。
当然だよなぁ、快斗もよーく知っている人なんだから。


次の日、その人は現れた。黒いスーツを身に纏った、ダンディな男性が。

「初めまして、と言うべきかな?工藤新一くん」

「そうですね」

口ひげが特徴的で、くせっ毛の髪は確かに快斗に似ていて・・・。
隣に座っている快斗が何よりも驚いている。

「私の名は黒羽盗一。正真正銘快斗の父親なんだよ」

「って言うか、何で父さんが此処に居るんだよっ!死んだんじゃなかったのか?」

戸惑った快斗が盗一さんに向かって怒鳴る。でも盗一さんは顔を顰めることなく、笑顔のまま快斗に言う。

「あぁその事かい?それはあの組織を騙すためのものだったんだよ。怪盗コルボとして快斗と勝負したのは結構楽しかったよ」

「やっぱりあれ、親父だったのかよ?」

「まぁね。あの時はまだ、正体をバラせなかったからね。千景に快斗が結婚するって聞いて、来たんだよ」

母さんまでグルだったのかよ。なんて呟く快斗を横目に盗一さんが俺に話し掛けてくる。

「こんな息子だけど、快斗を頼むよ?新一くん」

「はい」

「ありがとう。新一くん、快斗の事を好きになってくれてありがとうね」

盗一さんにお礼を言われ、快斗を好きになって良かったぁと思った。
それ以上に快斗とともに居られて、想われるのが嬉しかった。

盗一さんが探偵事務所から帰った後、育休を取って休んでいる蘭に代わり、快斗が仕事を手伝ってくれた。
今日は事件の依頼人が来るという事もあり、忙しい。でも、快斗が傍で仕事を手伝ってくれるだけで、1人で仕事をこなす時よりもスムーズにこなせて居た。

「新一、事件の依頼人さん来られたよー」

快斗に言われて、入口を見たら女性がぽつんと立っていた。

「初めまして、工藤新一です。ご依頼の内容は?」

微笑みがら女性に自己紹介をして、取り敢えずソファーに座らせる。俺は、その女性に向かいにあるソファーに腰掛け、依頼の内容を聞く。

女性の名前は佐原由美子、23歳。
依頼内容は浮気調査。付き合っている男性・木原知道さんが、最近浮気をしているらしい。

何か嫌な依頼だな、正直。最近似たような事が自分に起きたばっかだし。

「新一、不安にならないで?俺はもう浮気なんて絶対にしないからね」

「うん。快斗、ちょっと手伝ってくれる?」

「新一の為なら何でもやるよ!俺は」

快斗は木原が浮気しているらしい女性に化けて、確かめてくれて、木原が本当に浮気している事がわかった。
佐原さんは1発その男に平手をかまして、俺達に感謝してくれた。

佐原さんと別れた俺達は快斗の車で家まで帰っていた。

「なんかちょっと可愛そうだな、佐原さん」

「そうだね。
俺、変装する時にその浮気している女に聞いたらな。あの女、佐原さんって言う彼女が居る事を知ってて近付いたんだって」

「木原って言う男も最低だけど、浮気相手の女も最低だな」

「うん。
新一、着いたよ」

家に着いた事を、先に降りていた快斗がドアを開けて知らせてくれる。

「ありがとう、快斗」

俺は車から降りると、快斗がドアを締めてくれて、礼を言う。車の鍵をした快斗が、どう致しましてと言って俺の手を握ってくれる。

俺達は手を繋いで家に入り、リビングに入ってソファーに座った。ご飯を作ってくる、と言った快斗に手伝おうかと聞く。

「ううん、良いよ。新一疲れたでしょ?
俺が作るから待ってて」

と言って、キッチンに行った快斗。
俺は取り敢えずテレビを付けてみる。
今日木曜日だし、ドラマとかして無いかな?と思ってチャンネルを変えていると、最近始まったアニメを7チャンネルでしていた。
ちょっとたまご〇ちに似ているアニメで、夕方の5時55分からしているらしい。

何やら物を大切にしていると、ここたまって言うのが産まれる見たいで、主人公のこころちゃんがここたまを育ててる?らしいな。

「何見てるの?新一」

「んー、何かよくわかんねぇけど、ここたまって奴をしてたからさぁ」

「そっかー。
新一、今日はカレーにしたからもうちょっとでできるよ!」

キッチンから快斗に言われて、お腹が空いてきたのを実感する。
快斗の手作り料理だからこそ、何でも美味しく感じる。お互いの苦手な食べ物は絶対に入っていてないしね。だから、和食でも魚は出ないんだよな。
笑いながら、快斗の料理している姿を見る。

エプロンはいつものピンクのやつを付けていて、おたまを持ってカレーをかき混ぜている。
その姿が様になっていて、格好良い。

「新一、お皿用意してくれる〜?」

「あぁ、わかった」

カレーをかき混ぜている快斗に言われて、俺は食器棚から皿を2枚出す。
出して快斗に渡すと、快斗がお礼を言って火を止めて、お皿にご飯を盛る。その上にカレールウを盛って居る快斗を横目に、スプーンと福神漬が入っている皿を冷蔵庫から出して、リビングの机の上に置く。

俺は椅子に座って快斗が来るのを待った。

「新一、はいっ!」

快斗が俺に皿を渡してくれて、俺は受け取って机の上に置く。

「いただきます!」

「召し上がれ」

俺はスプーンを持って、カレーを口に運ぶ。

「美味しいっ!」

「良かった!新一にそう言われると嬉しいな!」

嬉しそうな顔で快斗に言われて、頬を染めて頷く。
それに気づいた快斗が・・・。

「っもーう、可愛すぎ〜〜!」

頬を染めながら言ってくる。そんな顔してる快斗も俺からしたら。

「快斗だってかっこ良すぎなんだよ〜〜」

何だ、バカップルかと周りから思われようと、俺達はって言うか俺は快斗と側に居られればそれだけでいいと思う。

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