マイフレンド C
□Refrain (1)
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〈Side:新一〉
「おめでとうございます、妊娠3週目ですね」
白衣を来た女性の産婦人科医ににっこりと微笑まれてお祝いの言葉を述べられた。
嬉しい、と言う気持ちよりも、どうして、何でと言う気持ちの方が大きかったと思う。
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最近体調が悪く、吐き気をいつも感じていた私。
赤井さんに気遣われ、1度病院に行ったほうがいいと言われ、内科に行ったのだがどの症状も内科では当て嵌る病気がなく、産婦人科に回されて尿検査をとった結果、陽性だった。
つまり妊娠している、という事で・・・。
そして冒頭に戻る。
「工藤さん、まだ3ヶ月目なのでまだ人口中絶も出来ます。相手の方にもよくご相談してくださいね?一応、人口中絶する場合の書類も持って帰られますか?」
「・・・はい。ありがとうございます」
母子手帳に挟んだエコー写真と、書類を手提げに入れて、受付で支払いを済ませて病院を後にして工藤邸への帰路をたどる。
何処をどう通って帰ったのかは覚えてないが、何とか工藤邸に着き、家の中に入る。玄関には赤井さんの靴があり、赤井さんが家にいる事を知らせた。
私は手提げを持って、リビングに向かう。
予想通り、そこには赤井さんが居て料理を作っていた。私が帰ってきたのに気付いたのか、赤井さんが火を止めてこちらへ来る。
「大丈夫か?新一。体調は大丈夫なのか?」
赤井さんに強引にソファーに座らせて、私の前に少し不安そうな顔をした赤井さんが聞いてくる。
そんな赤井さんの顔を見て居ると、生理的に涙が出てきた。
涙を拭いながら、赤井さんに妊娠していたと言う事をしゃくりあげながら告げる。
「実は・・・んっ、私、にんしっしてたって・・・ヒック、・・・赤井さん、こまらせたく・・・無いから」
どうしたらいいか分からない。
泣きながら言ってるが、私は産みたいんだと思う。でも、赤井さんを困らせたくない、と言う気持ちの方が自分の気持ちよりも勝っていて・・・。
拭っても拭っても溢れてくる涙に、私がどうしたらいいんだろうと思ってると、暖かい腕に包まれた。
「新一、そんなに泣かないでくれ。お腹の子に影響するだろう?」
だから泣かないでくれ。
赤井さんに優しい声で囁かれ、私は顔を上げて赤井さんを見ると優しげな顔で微笑んでいた。