マイフレンド C
□甘くなるのは君のせい
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どうしてこうも、恋人には甘いんだろうか。
FBIの会議室で睨みを利かしているのは、いつもより目の下の隈が酷くなっているFBIきっての切れ者。
名は赤井秀一。
五日も会議室で過ごしていて眠気に負けたのか、パソコンを叩いていた手が止まっている新人に赤井が話し掛けるかのように言葉と共に殺気を放った。
「たった五日寝てないぐらいでもうクタクタとはな」
他の捜査官達も赤井が放った殺気にその新人と共にに眠気が覚めた。新人は赤井に謝ると、パソコンを打っていた手を動かし始めた。
「ちょっとシュウ。新人いじめるの止めてくれる?」
赤井の態度に痺れを切らしたジョディが注意をするが。
「こんなんじゃ持たないと言っているだけだ」
赤井は喋っている途中も仕事の手を止めず、ジョディに返事を返す。
ジョディは赤井の態度に溜息をついた。
コンコンっ。
会議室のドアを叩く音が聞こた。
「はーい・・。ーーー誰かしら」
ジョディが扉を開けると、そこには天使みたいな笑を浮かべた女性が立っていた。
「お久し振りです、ジョディ先生」
その女性の声は赤井にとって凄く聞き覚えがあった。
なぜなら、その青年は赤井にとって凄く・・とっても大切な人の声だったのだ。
ーー新。
そう、その女性の名は赤井新一。
赤井の妻だ。
「ちょっとした物なんですけど、これ差し入れです。5日も会議室に缶詰めになってると、今頃秀一さんが睨みを利かしているんじゃ無いかなぁって思いまして」
「ありがとう、新一君!
皆、机の上片付けてねー。昼ご飯にするわよ」
ジョディの声掛けによってそそくさと机の上を片付けてる捜査官達に苦笑しながら持ってきた梅と鮭のお握りを一つずつ一人ひとりに配って行く。
最後に赤井さんのところにお握りと一緒に持ってきた少量の、水で割った赤井が好きなバーボンを机の上に置いた。
「ちょっとだけですけど、これどうぞ」
「すまないな、新。
そういえば優羽は?」
「連れてきてますよ」
おんぶ紐でおんぶしていた娘をおんぶ紐から外して横抱きにして、寝顔を見せる。
可愛い愛娘を見た赤井は少々微笑んだ。指先で優羽の頬に触れる。
すると嬉しいというかの様に新一に似た笑顔を浮かべる優羽。可愛い娘に赤井は親馬鹿な顔をした。
「赤井さん、少しでもいいので時間とって貰えませんか?」
小さな声でいう新の言葉ですぐに意味を読み取った。
「先に車に行っていてくれ」
「はい」
赤井はポッケに入れていた車のキーを新一に預けた。
車のキーを受け取った新一は、優羽を抱き直し、ジョディに挨拶をすると会議室を後にして駐車場に向かった。
「ジョディ」
「何かしら?」
「少し休憩してきても良いか?」
「いいけど」
赤井はジョディに礼を言うと、上に黒の上着を羽織、会議室を後にした。
愛車が止まっているところまで行くと、いつもの運転席ではなく新一が座っている逆の方向から車に乗った。
「新」
「赤井さん、優羽抱っこします?」
新一は腕に抱えている娘を抱っこするかと聞くと、赤井は頷いて新一が抱っこしている我が子を自分の腕に招き入れる。
新一に顔が似た可愛い愛娘。名前は赤井から取ったのだが、すごく可愛い。
新一の血を強く受け継いでいるんだろう。
「ふふっ。秀一さん、鼻の下延びてますよ」
赤井の顔を見た新一は微笑みながら言った。
「新一に似てすごく可愛いからな」
「秀一さんにも似てますよ?優羽の目元は絶対秀一さん似です」
何て親馬鹿な話をして休憩時間を取りすぎた赤井はジョディに怒られるのであった。