マイフレンド C
□E
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その日の夜、俺は久しぶりに松田さんの夢を見た。
窓の外には雪が積もっていて、気温が低く少し寒い。
俺は松田さんの膝の上に座り、後ろから抱きしめられていた。胸の所まで布団を掛けているが、二人とも裸。
でも、後ろから抱きしめられている俺は、少しも寒くない。
「松田さんは寒くない?」
「あぁ」
松田さんが後ろで喋る度に、息が耳に掛かりくすぐったい。でも凄く嬉しい。
俺が干渉に浸っていると、松田さんが俺の名前を呼んでくる。
「新一」
「何ですか?」
「もし、俺が死んだら新一はどうする?」
問いかけられて戸惑った。内容が死に関する内容だからじゃない。松田さんが死んだら俺はどうするんだろうって考えたからだ。
「・・・多分、一生忘れられないと思います。それに、松田さんが俺より先に死んだら、後を追いますよ。ひとりでこれから先生きていくのは辛いですから・・・」
「新一・・・」
言ったのは良いものの、泣いてしまった俺を名前を読んで優しく抱きしめてくれる。
松田さんが、言いかけた言葉を慰めながら言う。
「もし俺が死んだら、新一は俺を忘れて幸せになって欲しい。また俺と同じ様な男を好きになれば、少しは妬くかもしれないが、応援する。
でも、時々は俺を思い出して欲しい」
強く抱きしめて言ってくる松田さんに、俺は頷きながら涙を流していた。
・・・という所で目が覚めた。手で頬に触れて見ると、少し涙で濡れて居て・・・。
でも、やっと忘れていた松田さんとの幸せな記憶を思い出せた。
俺は心の中で微笑んで、服に着替えた。
「おはようございます!」
朝一番のコーヒーを口にしている赤井さんに声を掛ける。
「おはよう、新一」
いつも通りニット帽を被って居て、それがトレードマークで凄くかっこいい。ふと机を見ると誰が用意したのか朝食の準備がしてあった。
赤井さんに聞いてみると、快斗たちが行く前に用意してくれたらしい。
俺は定位置(赤井さんの隣)に座り、朝食をとる。
「新一も珈琲いるか?」
「あっ、はい」
パンを食べながら答えると、赤井さんが自分の分のおかわりと、俺の分の珈琲を入れてくれる。
いつも通り無口だけど、食べてる俺を気遣って近くにコップを置いてくれる。
「ありがとうございます、赤井さん」
「ついでだからな。
それより新一、明日から3日間俺も仕事で居ないんだが・・・」
「そうなんですか?」
少し、落ち込んだような気がする。だって快斗たちが帰ってくるのは2週間後だろ?赤井さんが居ない3日間を引けば、あと13日。
いつ告白すれば良いんだよ・・・。
朝食に口をつけながら、溜息をつく。
「ああ。それで24日なんだが行きたいところがある。新一、都合は悪くないか?」
赤井さんに都合を聞かれ、頷いたが殆ど聞いていなかった俺は何処に行くのか聞き直した。
聞き直すと、赤井さんがこっちに来て耳打ちしてくる。
この時の内容を聞いた俺が、凄く驚いたのを覚えている。