マイフレンド C
□D
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快斗と親友になってから、1ヶ月が過ぎ、夏休みに入った。
赤井さんとの関係がどうにかなった、と言う事は無いんだけど、進展なら一つはある。
赤井さんが俺のことを「ボウヤ」じゃなくて、「新一」と呼ぶ様になった事。
嬉しい半面、何故か悲しかったりもする。快斗に聞いた話、赤井さんは元恋人が居て、その人のことを忘れられないらしい。
その人の名前は、宮野明美=B
俺がコナンであった時、工藤新一だと名乗り、俺の前で亡くなった人だ。そして灰原・・・いや、宮野志保のお姉さんであった人で・・・。
俺には叶うことの出来ない、綺麗な人。
赤井さんも、俺と同じ様に大切な人を失っているのを知ったと同時に、俺には到底その人を超えることは出来ないと知った。
でも、俺は諦めるつもりは無い。この夏休み中に、赤井さんに告白するって決めたんだから。
少し前の俺なら、この状況で諦めていたのかもしれない。だけど、今は少し・・・、ほんの少しだけれども諦めない気持ちが強くなって来た気がする。
そんなある日のこと。
「えぇ?明日から2週間快斗と降谷さん居ないんですか?」
「えぇ。僕の方は出張で大阪の方に」
「俺は親に会いに2週間、ラスベガスに」
夏休み中・・・、いや、明日からお盆休みに入るんだけど、赤井さんと俺以外全員シェアハウスに居ないらしい。しかも二週間も。
「そんなにへこむなって、新一。赤井さんは家にいてくれるんだから」
「新一、俺だけじゃ不安なのか?」
赤井さんが俺の顔を覗き込み、聞いてくる。俺はブンブンと顔を横に振りながら答えた。
「そんなまさか。そんな事あるわけないじゃないですか」
慌て口調で言うと、赤井さんが笑った。
俺も赤井さんにつられて笑うと、みんなも笑い、リビングに笑い声が木霊した。