マイフレンド C
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新一side
蘭たちと入れ違いに赤井さん達が帰ってきて、俺も黒羽と一緒に玄関に行って、おかえりなさいの挨拶をした。
「帰りました。新一くん、快斗くん」
「ただいま、ボウヤ。快斗君」
赤井さんはいつも通り、俺のことをボウヤと呼んでくる。けれど、他の人と違うあだ名が嬉しかったりする。けど、いつも通り俺は赤井さんに言い返す。
「何で俺だけボウヤ何ですか?赤井さん」
「ボウヤはボウヤだ。それとも、新一くんと呼んだ方が良いかな?」
そう言って、俺の顔を覗き込まれて俺は、真っ赤になりながらも答える。
「ボウヤでいいです・・・」
「工藤も、赤井さんもご飯にしようぜ」
そう黒羽に声を掛けられ、二人でリビングに向かう。
いつも通り、俺は赤井さんの隣に座る。今日は和風系の料理だけど何で・・
「魚が無いんだろ・・・」
「工藤くん、それは」
「工藤?今何か言ったかな?さが付くものを」
黒羽が笑みを浮かべながら、俺に聞いてくる。シャーロックホームズファンで探偵の卵でなくても、理由はわかった。
黒羽は魚が嫌いなんだな。
「ごめん、黒羽。今後その名前は出さねぇ様にするな?」
「サンキュ!工藤。そ言えば、この苗字呼び、どうにかしねぇ?工藤」
「そうだな。いつまでも苗字呼びっつーのもなぁ」
「じゃぁ、新一って呼んでも良い?」
「あぁ。じゃぁ俺も快斗って呼ぶな!」
俺と快斗は笑い合いながら、言葉を交わす。
「君たちいいですね。僕も名前で読んで欲しい・・・」
「降谷さんを呼び捨てなんて、できませんよ」
「ほんと!」
「じゃぁ俺・・・」
「「却下」」
驚く程に意見が合う俺達は、一緒に笑う。隣に座っている赤井さんが優しい目で俺を見ているのを知らずに・・・。
ご飯を食べ終わった後、快斗に話があるって言われて俺は快斗の部屋に一緒に行った。
「快斗、話ってなんだ?」
「あぁ、それな。俺さ、赤井さんの事が好きなんだ。新一と一緒で」
「えっ?」
「ごめん、今日蘭ちゃんとの会話立ち聞きしちゃって。俺さ、赤井さんに何回も告白して振られてるから、もう諦めるんだ。赤井さんの事。
だから、俺が新一の事応援するよ。新一は幸せになるべきなんだからさ」
「快斗・・・」
寂しそうに告げる快斗に、俺は返す言葉も無くなる。もしかして、俺の過去の事まで知ったのか?快斗の奴・・・。
「快斗。もし俺の過去の事知って言ってんのなら・・・」
「違うよ、新一。確かにそれもそうだけど、新一は本当にいい奴だと思うし、絶対に幸せになって欲しい。それこそ、亡くなった恋人さんの分も精一杯。恋人さんもそう思ってるんじゃないかな?」
快斗に言われて、俺はお礼を言った。情けないけれど泣きながら。
この時ドアの向こうで、誰かがこの会話を聞いていることを俺達は知らなかった。