マイフレンドD

□公安の降谷零が世界で一番可愛いと豪語する赤井さんと、FBIの赤井秀一が世界で一番かっこいいと豪語する降谷さん
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所変わって、ここは警察庁警備企画課。通称ゼロと呼ばれている課の警視官室からは赤井がどれほどイケメンなのかを豪語する降谷と、それを簡単に促す風見の声が聞こえていた。
降谷は机に突っ伏して、机に貼ってあるこの前用意した赤井の写真を指でなぞっている。警視補佐に任命された風見はそんな降谷を見ずに溜息を付き仕事を進める。
「はぁ、今日も赤井に会えなかったな・・・」
「溜息をつきたいのはこちらですよ降谷さん。会いたいのなら自分から会いに行ったらどうですか‍?」
「それが出来てたら苦労するか。ていうか赤井には今まで、散々酷い暴言を吐いてきたんだぞ。そんな男が毎日会いに来たらお前ならどうする」
「・・・無視を決め込むか、その男を一発殴り、帰れと言いますね」
「だろう‍?・・・はぁ」
だから、溜息をつきたいのは私の方です降谷さん。
風見はその言葉を必死に飲み込み、仕事を続けた。そうしてふと時間を見ると、午前10時半。降谷がポアロのバイトに出る時間だ。
「降谷さん、そろそろでないと行けませんよ。ポアロのバイトを続けると言ったのは降谷さんでしょう。気を引き締めて行ってきて下さい」
降谷に釘を刺し、ポアロのバイトへと送り出した。

風見に言われた通り、ポアロの仕事は完璧にこなした。安室透の笑顔を忘れずどんな相手にも笑顔と敬語で接して、学校が終わった子供たちにはクッキーを用意した。
いつものように喜んでくれた子供たちに降谷も微笑んだ。
安室としての仕事を終わらせ、公安の降谷零に戻った。朝、風見に愚痴を垂らしたぶん、警視としての仕事をこなそうと考えながら。
「お疲れ、風見」
「お疲れ様です、降谷さん」
「あぁ。そうだこれ、ポアロで作ってきたんだがよかったら食べてくれ。今日愚痴を聞いてもらったお礼だ」
降谷は言い終わるや否や、自席につき仕事を始めた。自分の分の仕事が片付いた風見は降谷が持ってきてくれた袋から中身を出した。
小分けパックに入っていたのはポアロで有名なサンドウィッチだ。風見はパックの蓋を明け、サンドウィッチを1口食べる。
「美味しいですね。ありがとうございましす、降谷さん」
「いや、気に入ったのなら良かった。ポアロでは結構人気があるからな、そのサンドウィッチ」
「ですよね。私も1度は食べてみたいと思ってたんですけど中々・・・。行こうと思った時には女子高生が屯っていたり、満席で入れなかったり、・・・どんだけ運が悪いんだって思ってたんですがね。降谷さんに作ってもらえたのは嬉しいです」
「嬉しいことを言ってくれるな、風見。これはお礼だ。お前にはいつも迷惑を掛けてるし、俺の愚痴を聞いてもらったりしているしな」
降谷が言うと、サンドウィッチを口にくわえたままありがとうございますと言う風見。
降谷は黙ったまま仕事を続けた。
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