マイフレンド C

□赤新お題1
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振り向かず聞いて

翌日、昼間までで持ち帰ってきた仕事を終わらせた2人は暇つぶしに少し東京都内をぶらぶらしようということで、工藤家から出ていた。
少々喉が乾いたので赤井に少しベンチで待ってもらい、近くにある自動販売機でブラックコーヒーを2つ買った。それを手に持ち赤井がいるところに戻ろうとした時、後ろから口を塞がれもがこうとするが、口を塞いだ男が喋る。

「工藤、新一だな。悪いが赤井秀一を呼び出すための人質になってもらいたい」

そう聞かされるが、大人しくついていく新一ではない。右脚で男の足を蹴り、男の腹を肘打ちする。
男が腹を抱えている内に男の腕の中から出ると、いつの間にか周りに男どもが俺の周りを囲んでいた。
五十、いや百か?辺りを見回しながら人数を検討するが、一人でやるにはちと数が多い。
思っていると後ろ側にいた敵が何人も気絶していった。何だろう、と思っているとそこには・・・。

「赤井さん・・・」

そう、こいつらが狙っている赤井秀一がいた。截拳道を齧っているから赤井にとっては屁でも無いだろう。
赤井は新一の所まで来ると新一に話し掛けた。

「飲み物を買ってくると言ってから戻ってくるのが遅いぞボウヤ。しかも何なんだ?この外道共は」

「赤井さんを狙ってるみたいですよ。でも僕1人じゃ流石に人数が多いので、来てくれてありがとうございます。背中、預けても?」

「あぁ」

赤井は言い終わるのが早いか、新一の背中に自分の背を預けた。ピタリと背中を合わせると、新一はポツリと赤井に言った。

「赤井さん、これで無事に助かったら言いたいことがあります。聞いてくれますか?」

「あぁ。とりあえず、この外道共を」

「「片づけよう」」

同じ事を口走るとこちらにわざわざ喧嘩売りに来た奴らを、一人ひとり倒していく。
倒し終わるまでに十分も掛からなかったと思う。截拳道を身につけていなければやばかったかも知れないが。

「赤井さん、振り向かずに聞いてくれますか?」

少し、息切れ状態で赤井の背中に持たれながら聞く。

「あぁ」

「ありがとう、ございます」

少し深呼吸をして呼吸を正確に整える。そして、今まで黙っていた気持ちを言葉にした。
ストレートな言葉で。

「赤井さん。俺、赤井さんの事が好きです」

顔を見て直接いえないけれど、新一は笑顔を浮かべて言った。新一が言った瞬間、赤井は約束を破って悪いと思いながらも、新一を振り返り、新一を抱きしめる。
新一を抱え込むようにひとしきり抱きしめた後、新一の顔を見て自分の思いを伝えた。

「ボウヤ、俺もボウヤが好きだ。愛してる」

「赤井さん・・・」

赤井は涙目になっている新一の唇に、自分のそれを当てた。
やっと二つの思いが一つに慣れたことで、言葉よりも行動で2人は相手を感じていた。
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