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□もしかして
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「ねぇ、シリウス」

「なんだよ。」


面倒そうな顔で振り向いた彼に、手を差し出す。


「手、つなごーよ」

「は? 嫌だね」


更に嫌そうな顔をした彼に、手を叩かれる。


「…なによ…叩くことないじゃない!」

「嫌なら、他をあたれ!」


「ふん。
いい、リーマスのところへ行くから!」

「ああ、勝手にしろ!」

「言われなくても そうするわよ!」



扉を閉める前に見えたのは、不機嫌なシリウスと

私達が言い争うのを見ていたらしい
リリーとジェームズの、呆れた顔だった。



―――――――



「リーマス! 聞いてよ。」

「今日は、どうしたんだい?」


本を読んでいるリーマスが、視線をあげる。



「シリウスがね、」

先程の話しをすれば、
聞き終わったリーマスが笑いだした。


「な、なんで笑うの」

「はは、幸せそうだと思ってね」

「これのどこがよ、」


はぁ、とため息をついて見せれば


「ドアの外を見てごらん」

と、リーマスが小さく呟いた。


「………え、」


言われるがままにドアの方を見れば、
そこには誰かの影。

その曇りガラスにうつる影は、
シリウスのものだと嫌でもわかる。



「彼は、あれで隠れてるつもりなのかな?」

クスクス、リーマスが笑う。

「本当、可愛いよね。
さっきのも、許せちゃいそう」


つられて笑う私の声に反応してシリウスが

ドアから そっと目を覗かせるのがわかった。


「行ってあげたらどうだい?」

そんな彼と私を交互に見るリーマス。


「うん、そうする」

「それじゃあ」

「邪魔しちゃってごめんね!
あと、ありがとう」

「いいえ」

ニコニコと笑うリーマスに背を向け、
静かにドアへと歩き出す。



「シリウス、どうしたの?」

「!!べ、別になんでもねえ」


背を向けている彼に話しかければ

その肩が飛び跳ねて、思わず笑う。


「…笑ってんなよ」

「ごめんごめん、」


此方を睨む彼に謝ると、
彼が、痛いくらいに私の手を強く握った。



も し か し て

(( これは、妬きもちですか? ))


.

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