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□愛してる、って
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「聞いて!リリー!」
朝、談話室の暖炉前で休んでいる親友に駆け寄る。
「ハナ、どうしたの?」
「あのね!
シリウスの夢を見たの」
「あら、良かったわね!」
「どんな夢だったんだい?」
「それは僕も聞きたい」
リリーの横から顔を覗かせるのは
リーマスと、ジェームズ。
「ふたりとも、おはよう!」
「ああ、おはよう」
「おはよう」
挨拶をすれば、二人が微笑む。
「そうそう、シリウスがね、
"愛してる、お前だけ…" って言って
すごく優しい顔で、私を抱き締めてくれたの!」
「あの、シリウスがねぇ…」
「そうか…良かったじゃないか」
「そりゃ傑作だ」
そう呟きながら3人の視線は私の後ろへ。
不思議に思って私も振り返れば後ろには
なんだか嫌な顔をした彼が立っている。
「………。」
「おはよう、シリウス。」
「… " 愛してる、お前だけ" だと?
俺は、そんな気持ち悪いこと言わない」
どうやら、先程の話しを聞かれていたようだ。
「怒らないでよ。
夢だ、って言ったじゃない」
「あー気持ち悪い、夢でも嫌だね」
「…そう。」
吐く真似をするシリウスに、背を向けた。
「なんだ、怒ったのか?」
顔を覗き込もうとするシリウスを
「知らない。 …あっち行って。」
と冷たく手で払えば、今度は彼が怒る番。
「なんだ、その態度は」
「そっちこそ!」
「おい。俺から目を逸らすな」
「嫌よ、 ちょっと離して!」
暴れる私の頬を優しく包み込み、
自分の方へ引き寄せる。
「よく聞いとけ。俺は、言葉にしない主義だ
だから、そんな気持ち悪いセリフは言わない」
「ば、ばかじゃな…っ、」
言い終える前に、シリウスが私の唇を奪う。
気付けば親友達は、談話室を出た後だった。
愛 し て る 、っ て
(( ちゃんと、言葉にしてよ ))
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