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□二度目のお別れ
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あれから3日。



私とフレッドは、思い出を作るためにと



色んなことを話し、遊びに行ったりした。





彼が生きていたら、こんな感じだったのかなって

改めて思うと、少し寂しく感じたけれど…。




だけどまた会えた、それは何にも変えられない。





「ハナ、1ヶ月って意外と短かいんだな!」


「…そうだね、フレッド。」





夜、ベッドの上で フレッドと向かい合う。



「フレッド…私、きっともう、泣かない」


「それは良かった。
でも、それはそれで寂しいよなー」



はは、と笑うフレッド。



「仕方ないから…たまには、泣いてあげる」



目を逸らして言ってやれば、嬉しそうに彼が笑う。



「それはありがたい!
でも、泣くのは墓石の前だけにしてくれよ」



「なんでよ」


「ハナは、俺の前だけで泣けばいいさ」




笑って言い退けたフレッド。



「なによ、それ。
本当に、フレッドってバカじゃない」



「そう言ってくれるな!

……なあ、ハナ」





急に真剣な顔に戻ったフレッドが

そっと顔を近付ける。




「…最後に、キスさせてよ」


「……フレッド、」




す、と彼が私の頬を触る感触。



「あれ…触れる!」


「フレッド、冷たい…」


「そりゃ、死んでるからな!」


「バカ、」




向かい合う私たちに、ムードなんて無くて。


それでも、私は幸せで。






「フレッド…好き、だよっ…」


「あーあー… ほら、ハナ泣くなよ」




冷たいフレッドの手が、私の涙を拭う。



「ほら、目閉じてよ。」


「いや。フレッドの顔、見るの」


「あのなぁ、」




呆れたように笑うフレッド。


その姿を、忘れないように目に焼き付ける。





「…、俺のキス顔みれるなんて、貴重だぜ」




諦めたのか、笑って私の上に乗る。



「…フレッド、好き、大好き…っ、」



「俺も、ハナが好きだ。

出会ってくれて、ありがとう。


愛してる、ずっと…」




フレッドは、微笑んで唇を重ねた。




「っ、…フレッド、」


「ん…、ハナ」




結局途中で目を閉じた私の頭を


優しく撫でて、隣に寝転んだ。




「おやすみ、ハナ」


「フレッド…おやすみ、」



額に優しくおとされたキスに落ち着いて


そのまま眠ってしまった。







朝起きて、誰もいない隣を見て


私は、再び眠りについた。





二 度 目 の お 別 れ

(( 本当は、まだいて欲しかった ))



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