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□きみが隣にいる
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ハナが俺にプロポーズ(笑)してから約1週間。


俺たちは、それからも変わらぬ生活を続けていた。




ある休日の午後、




「ねぇ、フレッド…」


「なんだ?」


「……」




ハナが、俺を呼んで黙る。




「…ハナ?」



何度問いかけても、状況は変わらず、


俺も、しばらく黙ることに決めた。






「…………」



「………」




「…………」











「……フレッド。」




暫くして、漸くハナが話し始めた。





「ん?」


「あの、ね…」


「ああ、」


「私、」


「なんだい?」





彼女が次に発する言葉を待つ。





「………私、何も望まない。


ただ、フレッドが隣にいてくれる



それだけで良いから、だからっ…


もう、どこにも行かないで…」







ぽろぽろと、涙をながすハナに近寄り


涙を拭いてやろうとするけれど


俺の指先は、彼女をすり抜けるだけで…

何とも言えない悔しさに見舞われた。






「ごめんな、涙も拭いてやれなくて…」



「っ、そんなの、良いっ…」




自分で涙を拭ったハナが、



「泣くつもりは、なかったの」



って、困ったように笑った。






「…ハナ、俺は…お前が泣くのが嫌だ。

ずっと、笑顔でいてほしい」




「…フレッド、頑張って、みる」




ふわり、綺麗に笑う彼女を見て


俺は "離れたくない" なんて、思ったんだ。




き み が 隣 に い る


(( 俺だって それだけで、いい ))





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