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□キミの背が
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( 炎のゴブレットのワンシーンを捏造 )
「デスイーターだ!!」
逃げ惑う人々に押され、皆とはぐれてしまった。
「…、ハリー!ハーマイオニー! ロン…!」
周りの騒音に掻き消される自分の叫び声。
悔しさに、唇を噛み締める。
炎が周りを包むなか、
人にぶつかり、その下敷きになる。
「い…っ、」
涙を堪えて、立ち上がろうとするも
力が入らず再度、地面に伏せた。
「……ハナ!」
「っ、ロン…?」
人々から私を守るように、
ロンが、私の上から手を伸ばす。
「ハナ…、はやく手を取るんだ!」
「っ、」
力一杯腕を伸ばして彼の手を掴めば、
その腕を引き上げて、私を立たせる。
「ハナ、走れる?」
「ごめんなさい… 足、挫いたみたいで」
私の顔についた泥を優しく拭き取ると
「ほら、後ろに乗って。」
そう言って素早くしゃがんだ。
その背に乗って、首元に腕をまわせば
「落ちるなよ」
なんて優しい声が、彼から響く。
「ハリーは、」
「ハリーの方には、ハーマイオニーが向かったよ」
「そっ、か」
「僕じゃ不満なのか?」
不機嫌そうに少し振り向くロン。
そんな彼を見て、思わず笑ってしまった。
「ううん。 ロンで、良かった」
「っ…」
耳まで赤く染めるロンに、なんだか
私まで恥ずかしくなって喋るのをやめた。
キ ミ の 背 が
(( こんなに逞しいことに、今更気付いた ))
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