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□ 紙飛行機のラブレター
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「この教室臭いから嫌いなんだよな。」
「まぁまぁ、すぐ終わるさ」
リーと占い学の教室に入り、適当な席につく。
友人が急に出られなくなり、
"トレローニーは生徒の顔と名前なんて覚えちゃいない"
なんて、そんな理由のせいで
数合わせのために参加させられたのだ。
俺には全く興味のそそられない
トレローニーの必死な説明を、
ただ黙って聞き流していると
頭にコツン、と小さな衝撃。
「…いて、」
反射的に出た声に、トレローニーが反応して此方に向かってくる。
「何かありましたの?」
「いえ…なんでも、」
す、と頭を下げればトレローニーはもとの位置へ戻る。
ふと下を向くと、机に転がっているのは
ノートをちぎって作られた紙飛行機。
隣ではクスクスと笑う俺の好きな奴。
"" 頬杖ついてるフレッドもカッコいーね。
惚れちゃいそう(笑)
……ウソだけど。""
「っ…、( なんだよ、こいつ )」
内ポケットに仕舞い込んだ紙飛行機。
その返事は、消ゴムを落としたフリをして
唇で、お返ししてやります。
紙 飛 行 機 の ラ ブ レ タ ー
( ハナ、好きだ。 惚れてよ )
( フレッド…! )
(( 俺たちを見て ヒステリックに叫び出す
トレローニーの声は、聞こえないフリ。 ))
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