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□キミが残した
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「ねぇ、ハナ…帰ってきたら、
キミに言いたいことがあるんだ
だから、待っててほしい」
そう言って微笑んだあなたを
私は止めるべきだったのかな。
「……ねぇ、」
横たわるあなた。
「フレッド…っ、」
まだ、少し暖かくて…
「…目を…開けてよ…
お願い、フレッド…っ、
もう一度、名前を…呼んで」
彼に覆い被さって泣き出す私を
『バカだな、泣くなよ』
なんて笑って慰めてくれる彼はもういなくて
「ハナ……」
「…っ、…」
彼の片割れ、ジョージが
そっと隣から箱を差し出した。
「これ…フレッドから、キミに」
「…っ…、」
受け取った小さな箱。
その中には、小さな手紙と
シルバーリングが入っていて
『 Dear Hana.
I Love You Forever.
From F.W』
「フレッド…、っ」
ぼろぼろと零れ落ちる涙は
まるで止まることを知らないみたいに流れ続ける。
あなたは、微笑んだまま
まるで眠っているみたいで。
その唇に、そっと口づけて
最後のキスをした。
キミが残した
(( 最後のプレゼントは
何よりも残酷で、誰よりも深い、愛 ))
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