希望の光少女
□第一章
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――4年後
うちが死んで、新たな生をもらってから4年。
名は前世同様『星月鈴藍』で、今の両親や近所で仲のいい友達からは鈴という愛称で同じく呼ばれている。
そして今その友人達と、最近別の保育園に移ってできたという友達二人と会っている。
その人物とは……、。
「蘭はね、毛利蘭っていうの!」
そうです、この子です。
『名探偵コナン』のヒロインで、今のうちにとって将来幼馴染にあたるであろう工藤新一の旦那です。
後もう一人、既にパーティ関係で知り合っている鈴木園子。
「鈴じゃない!新一君の大事な友達って、鈴のことだったのね!」
園子はうちの両手を取り、キャッキャッと騒いでいる。
うちは内心この現状に苦笑いしながらも、表では喜んでおいた。
何せ、園子はパーティ関係で唯一親しくなれた同年代の子だからだ。
「新一と新二の友達が園子だったとはね!驚いたよ」
「何だよ、園子とは知り合いなのかよ」
「うん、財閥関係のパーティでね」
新一はジト目でこちらを見ており、唯一この中で今知り合った毛利蘭ちゃんの方を見る。
園子はそれを見てうちの手を放し、うちは蘭ちゃんに近づく。
「初めまして!うち、新一君と新二君のご近所に住んでいる星月鈴藍。皆は鈴って呼ぶから、良かったらそう呼んでね」
「うん!よろしくね、鈴ちゃん。蘭の事も、蘭って呼んでね!」
「こちらこそよろしくね、蘭」
とこうして蘭と知り合い、友達となりました。
ホント、前世で精一杯生きてもう十分だったという思いにふけて死んでいったのに、死んで辿り着いた先は死神と呼ばれる青年――いや、少年が存在する一つの世界。
『名探偵コナン』と呼ばれる世界だったとはだれも思わないでしょう。
……まあ、ここはパラレルワールドの世界なんだろうけど。
理由は、存在しないキャラクターがこの場にいるから。
その人物とは――、『工藤 新二』。
主人公工藤新一の双子の弟として、この世界で存在している人物。
「新二、オメー今日は調子が良いんだろ?鈴交えてサッカーしようぜ」
「はぁ……。鈴は女の子なんだよ?そう毎回毎回(」
「気にしないで、新二。私が好きで付き合ってるんだから」
「んじゃやろーぜ」
「あ、蘭もやる!」
「それじゃああたしも!」
新二は生まれつき新一と違って体が弱く、激しい運動を長時間続けることが難しい。
だからサッカーというスポーツは基本禁止されているのだが、運動しないというのも問題なので朝体調が良い日は休憩を適度に挟めば、運動することも許されているのだ。
そして新二はサッカーすることに反対することは無く、うちら5人は近くの公園にあるサッカーグラウンドへ向かった。
途中途中休憩をはさんでサッカーをやっていたが、新二は途中でリタイア。
限界が来たのか、1時間もしないで木の木陰に入ってサッカーを止めた。
蘭と園子も2時間ほどで飽き、最終的にうちと新一の二人で勝負をすることになった。
「どっちが勝つんだろうね〜?」
「それは勿論、鈴に決まってるわよ!だって鈴、運動神経良いもの!」
「それなら兄さんもだよ。どっちかっていうと、兄さんの方が技術的には上手いよ。いつも兄さんが鈴に教えていたからね」
新二の言う通り、うちは新一とよくサッカーをする。
ついでに言えば、彼と新二に付き合って書斎の本も読んでいる。
そのおかげか、将来新一のホームズガタリの相手になりそうだよ。
「今日も俺が勝つ!」
「相変わらず自信満々。(この頃から自信家なところはあったのね)」
というか、いつから勝負になったのか。
サッカーをよく二人でやっていたから、別に勝負感覚は無かったんだけど……。
でも、毎回最後にドリブルでのボールの取り合い的なのやってたから、勝負にはなるのか。
まあ、新一が勝負だったいうなら本気でやらなきゃね。
「やったー!」
「鈴の勝ちね!流石は鈴!」
「とうとう兄さんに勝ったか。というより、今まで勝負だっていう認識が無くて、本気じゃなかったって感じかな」
「新二大正解。本気を出したら、ギリギリで勝てたよ」
「は…、はは……。まさか鈴がここまでやるとはな」
「V、だね」
新一との勝負の結果、うちの勝ち。
うちからのドリブルで勝負は始まり、一度新一に奪われたが奪い返してシュート。
要は、先にドリブルからのシュートを決めれば勝ちという単純な勝負だ。
勝負なら何かかけたいという気持ちもあったが、まだ4歳の子供なのでそれはもう少し先。
いつかジュースでも賭けた勝負ができればいいなと自分でも思う。
所謂、戦利品って奴だ。
「よし、それじゃあそろそろ帰ろうか。もう4時過ぎなんだし」
「え〜、蘭はまだ鈴ちゃんと一緒いたい……」
ショボンとしている蘭ちゃん、じゃなくて蘭が可愛い。
けど小さい頃は全員誰でも可愛いのだ。
勿論、小さい頃から気障で生意気な部分がある新一にだってね。
だから、その可愛さに飲み込まれてはこれから先大変だ。
この世界の住民は皆して顔面偏差値高いのだから。
「蘭、うちとはいつでも会えるよ。うちの家、新一と#NAME5##の家のご近所なんだから」
「……うん…」
蘭は渋々頷き、女子3人は手を繋いで前を歩く。
男子二人もうちらの後に続いて歩き、それぞれ今日は自分の家に帰っていった。
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