超能力者の一人は“元”別世界出身者
□第一章 βテスト開始
1ページ/4ページ
「……後1分」
《ソードアート・オンライン》のβテスト開始時刻まで、残り1分。
私は電波時計で時間を確認し、ベッドに寝っ転がった。
そしてナーヴギアを装着し、開始時刻まで残り1分をとっくに切っていた。
(早くやりたいなぁ。……例え、正式版でデスゲームとなる運命だとしても)
純粋に体を動かしたRPGをやりたいっていう気持ちもあるけど、叔父さんのせいで多くの人を死なせたくないっていう自分のエゴなんだけどね。
それでも、私はやってみせる。
とりあえず、βテストである程度の情報を集めて、少しでも正式版で他の人を助ける余裕を作らないと。
(……もう時間だ)
色々なことを考えているうちに時間を過ぎていて、私はゆっくり目を閉じる。
茅場昌彦さん、私は貴方のする行為を許せないと思っている。
それでも、大事な叔父さんだから、未来を変えてみせる。
「………。リンク・スタート!」
その言葉を唱えた途端、私の閉じた視界に色とりどりのラインが見え始め、静かに意識は遠のいていった。