BOOK(ちーかい)

□ソファ(ちーかい)
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「かいちゃーん、お風呂出たよー?」
今日はお仕事終わりでそのままかいちゃん家に来た。
一緒にきゃいきゃい言いながらご飯を作って(8割は私が作ったけど)、食べて。
片付けの合間にかいちゃんをお風呂に行かせて、入れ違いで私がお風呂から出た、所。

かいちゃんはリビングのソファとテーブルの間の床に座って、ソファの足を背もたれにして、漫画を読んでいた。
私が声をかけたのも気付かず、夢中でページを捲っている。
しかも、髪の毛もちゃんと乾かしてない様子で、パジャマ代わりのグレーのTシャツの首回りが湿って色が変わっちゃってる。

「かいちゃん」
「………………………」
「かいちゃん」
「………………………………………」
「こら!かいちゃん!」
「ふえ!あっ、ちーさま」

ちょっと強めに名前を呼んで初めて、やっとかいちゃんが私に気付いた。


これは。ちょっとおしおきだな。


「まったく、髪も乾かさないで何⁈お風呂出たまま漫画⁈」
ドスッとわざと音を立ててソファ、かいちゃんのすぐ隣に腰掛ける。
「や、あの、これは…!」
「もう、そんなに漫画が良いならずっと読んでなさいよ。私、帰るからね」

と、今座ったばかりのソファから立ち上がる。
すると、読んでた漫画を投げ出し、すかさず膝にかいちゃんがしがみついてきた。

「や!ちーさまごめんなさい。帰らないで!」
かいちゃんはしがみついた腕をぎゅーぎゅーして私から離れまいとする。

「…私、せっかくかいちゃんに会いに来たのに。かいちゃんは私より漫画が大事かもしれないけど」
ちょっと、いやかなり?イヤミを込めて悲し気に言うと、
「そんな!私にはちーさまを超える重要事項はありません!ちーさま、ちーさまごめんなさい」

私にしがみついたまま必死に謝るかいちゃん。

しかし、あまりにもかいちゃんの反応が予想通りすぎて、私は堪え切れず吹きだしそう。

あー、かいちゃんおもしろい。
反省はしたみたいだし、そろそろ許してあげようか。
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