月曜日にはスミレの花を

第6話
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「おい、薪をくべてくれよ」

二人がパンをもそもそと頬張っていた時、ふいに奇妙な声が聞こえた。
リネットはきょろきょろと辺りを見渡す。

「今の声って……」
「ああ、カルシファーですよ」
「カルシファー?」
リネットが首をかしげると、再び同じ声がした。
「おいらはここだよ。暖炉だよ」

リネットは言われた通り、暖炉に近付く。
そこには――

「おいらは火の悪魔カルシファー!」

「――火がしゃべった……」

リネットの目線の先にいるのは、丸っこい目がついた、火だった。

リネットの反応に、カルシファーはパチパチと音を立てながら不満気な顔をする。
「おいらをその辺の火と一緒にするなよ」
「ご、ごめんなさい」
リネットは慌てて頭を下げた。
「分かったらいいさ、薪をくべてくれよ」
「えっと、これかな」
リネットが薪を近づけると、カルシファーはひょろりと手を伸ばして、それを受け取る。
「ありがとよ」

(……魔法って、すごいのね)

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