月曜日にはスミレの花を

第5話
1ページ/6ページ

「あの、本当に大丈夫ですか?」
「うん、触った瞬間は痛かったけど……もう治ったからね」
リネットは申し訳無さそうに俯く。

「マルクル、お湯を沸かして」
「はい、お師匠様」

マルクルと呼ばれた老人は、ケープを脱いだ。すると、その姿はみるみるうちに可愛らしい男の子へと変わる。

「え――?」
リネットは目をぱちくりさせた。

「ああ、魔法なんです!」

マルクルは嬉しそうに言う。
しかし、それを遮るように男が口を開いた。

「それで、僕に渡したいものって?」

「え?」
男はにこにこと鞄を見る。
「魔法使いハウルに、女性からプレゼントがあるんでしょう?」
「えっと――」

困惑するリネットに、男はにやりと笑った。

「ああ、ごめん。――僕、ハウルなんだ」

リネットは目を見開いた。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ