月曜日にはスミレの花を
□第4話
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リネットは駆け出していた。
店にいた人々は、驚いている顔の者もいれば、好奇の目でリネットを見る者もいた。
「ちょっと、リネット――!」
「……」
驚いて声を上げたリリアンとは対照的に、男はただ走りゆくリネットを見届けるだけだった。
「――そうだ、お客さん! 手、大丈夫かい!?」
ハッとしたリリアンが、男に駆け寄る。
「ああ、僕なら平気です」
「すまないね、あたしもさっきあの子に触ったら、ほら――」
リリアンは手をひらひらと振る。
「一体、何なんだろうねえ」
「……」
――男はリリアンに見えないように手を軽く振る。
黒い痣は、するりと消えていった。