月曜日にはスミレの花を
□第3話
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「リネット、何してるんだい、とっくに店を始めちまったよ!」
「――お母さん」
「さっきダリアを持って上がったきり、降りてこないから――リネット?」
「お母さん、私……」
リリアンはリネットの部屋に入るなり、動きを止めた。
リネットは、何かに怯えるような表情で、部屋の隅にうずくまっていたのだ。
「どうしたの、具合でも悪いのかい?」
「……私……」
そこまで言って、リネットは口を閉ざした。
(私が触った花が枯れる――なんて、言っても……信じてくれるかしら)
「リネット? 大丈夫なの?」
「……うん、ごめんなさい。少し、調子が悪いみたい」
「そう……仕方ないね、今日は休んでおきなさい」
「……うん、ありがとう」
リリアンは心配そうにリネットを撫でる。
――その時。
「……痛!」
「お母さん、どうしたの……!?」
「いや、あんたに触れた瞬間に、手が――」
リリアンは手をリネットに見せる。
――その手の平には、黒い痣のようなものが浮かび上がっていた。
「なんだろうねえ? まあ、いいさ。とにかく、あんたは寝てなさいよ」
リリアンは何でもない事のように笑い、部屋を出て行く。
部屋で一人、リネットは呆然とした。
(……私……)