とある神官さま!!

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「おや、本当に生きていたか。」

「その『心外』と言わんばかりの
 台詞と表情、止めてくれませんかね。」



嫌がらせだろうか。
絶対安静の怪我人の部屋に訪れる
客というのは基本、見舞いが目的の筈で
たとえ間違ってもあの台詞を
吐く為に来る筈もない。
というか暇じゃないよな?
ねぇ黄金聖闘士サマ。



後日談 その2



「君も漸くこの世の儚さや虚しさを
 認めて散ったのかと思ったのだが。」

「いやいやいやいや。
 珍しく処女宮から出てきたと思えば
 なに、喧嘩売りに来たの?」

「そんなことは無い。
 私は友である君の見舞いにきた。
 君は他の人間たち同様に常々愚かだが
 良くも悪くも人間らしい。」

「…見舞いに来たならあと少しで良い。
 表面だけでも労ってくれると嬉しいよ
 アスミタ。」

誉め言葉に聞こえないと溢せば
アスミタは首を傾げた。
…美人だからってほだされないからな!

盲目ゆえにほかの誰よりも
多くのことを感じ取るアスミタ。
小宇宙も戦闘能力も抜きん出て高い彼も
神に近いと言えど、やはり人の子だ。

彼に欠けるもの。

それを知れば、恐らく彼がこの生に持つ
難題の答えは得られる筈だ。

「あぁ、アスミタ。
 どうせまだ迷ってるんでしょ。
 安心して迷うと良いよ。」

「相変わらず、おかしなことを言う。
 迷えば不安がうまれる。
 そこに安心など存在しない。」

「いいや。安心して迷って良いのさ。」

「…何故。」

「貴方が迷って考えた末に出した答えは
 サーシャも私も…アスミタ自身も
 受け入れる覚悟と自信があるから。」

それはアスミタへの信頼だ。
だけど、まだ彼には届かない。
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