とある神官さま!!

□猛虎のしつけ方
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「うわっ、ちょっと、待っ…!!」

「待たん!」

最後まで言わせて貰えなかった。
問答無用で飛んでくる拳を全力で避ける。
勿論、黄金聖闘士が戦士以外に光速拳を
当てれば即死なので非常に緩い拳だ。
それでも拳圧で生じたかまいたちに
所々、服や皮膚が切れてしまった。

「優斗、避けては修行にならんぞ!」

「修行もなにも…………!」

好き勝手に喚く目の前の男に
頭がずきずきと痛みだす。

「何度言えば判るの、童虎!
 私は聖闘士じゃないのよ!!」

いつもと変わらないやりとり。
これも何度目の台詞なのだ。

「――――――神官なの!!!」



お前ら超人格と一緒にしないでくれ!



私がなんだかんだ仕事の用事で
教皇宮から出てくると、十中八九
この天秤座の黄金聖闘士サマが
修行だなんだと襲ってくる。

ヒマなのか。
私は神官だっつってんだろ。
あんなの、当たれば死ぬ。

だから死に物狂いで避けるのだが
どうもそれがいけないらしく
童虎はますます楽しそうだ。
が、こちらは仕事中なのだ。
というか、生命が懸かってる。

「いい加減に……しなさいっ!」

適当な石を拾って投げつける。
勿論、効く筈もない。
金色の聖衣に弾かれる。

「効かんぞ、優斗!!!」

そりゃそうだ。
女神アテナの黄金聖闘士が一般人がなげた
石ころなんかでやられたら困る。

「いいのよ。
 初めから狙いは別にあるし。」

にっ。
口元を持ち上げてみせる。
ほぼ同じタイミングで私の前に
輝く壁が現れた為、童虎が反撃とばかりに
繰り出した拳はあえなく弾かれた。

「うおおっ!!!!
 なんじゃ??………………うっ。」

一瞬不可解そうな童虎だったが
壁を認識した途端、青ざめる。

「なんだはこちらの台詞だぞ、童虎。
 お前は優斗殿に何をしている。」

「げぇっ…し、シオン……!」

絶対零度の視線を向ける親友の姿を認め
童虎は既に蛇に睨まれた蛙状態だ。
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