とある神官さま!!

□嘘は美味しく裁かれる
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「………優斗。
 怒りたい訳じゃない、心配しているんだ。」

「ごめんなさい。書庫に入った後ね…
 蝋燭の替えを取りに戻ったのと、
 気分転換に2回くらい湯浴みして
 えーと。…あと、うーん、何したっけ?」

「もう良い、よく分かった。」

何度目か分からない溜め息を吐くと、
デジェルは優斗の身体を軽々と抱き上げた。

「ひゃっ!?何、どしたの??」

「どうしたのはこちらの台詞だ。
 3日間飲まず食わずだったのだろう?」

「あっ!………バレてた?」

「女官たちが心配していたのだ。
 『神官様がずっと閉じ籠りきりで
 食事も召し上がって下さらないし、
 夜通し灯が点いているのでお休みに
 なられていないのでは』と宝瓶宮に
 帰った途端泣きつかれたんだ。」

書庫で無茶を通す神官の姿に宝瓶宮の
女官たちも余程心地が悪かったのだろう。
無礼も承知で主人に上申したのである。

「うわぁーー……。
 …それは、申し訳ございませんでした。」

邪魔をしてはいけない、という思いと
無理をし過ぎないで欲しいという思いが
女官たちを板挟みにしていた。

「あまり心配かけてくれるな、優斗。」

「肝に命じます。デジェル様。」

デジェルが器用に扉を開けると、
ダイニングテーブルには既に女官たちに
用意させた食事が湯気を上げていた。

椅子のひとつに優斗を丁寧に降ろすと
デジェルもまた装着していた黄金聖衣を
オブジェに戻してから腰を下ろした。

「今日は罰として、
 私と一緒に食事をしようか、優斗。」


もちろん、拒否権などある筈もない。





は美味しく
裁かれる




そして、デジェルが女官たちに
新たに申し付けた決まりがひとつ増えた。
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