とある神官さま!!

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「優斗、もしよければ私と
 魔宮薔薇園でともに過ごさないか?」

真っ直ぐな瞳に思わず心臓が跳ねる。
しかも台詞が台詞だ。
修行の誘いと判っていても
うっかり誤解してしまいそうだ。
それ良いな…と思った所で

「待ちたまえ、アルバフィカよ。」

ぐっと逆側から腕を取られる。

「アスミタ?」

相変わらず静かな顔がそこにあった。

「優斗、そんな力を振り回すばかりの
 サルみたいな連中を師匠とした所で
 君に適した力は手に入らん。
 私とともに瞑想をするがいい。」

「アスミタ。………言い過ぎ。」

後ろで童虎やマニゴルドが怒ってるし
アルバフィカも間近で睨んでいる。
確かにこのメンバーなら
アルバフィカかアスミタが私向きだ。
毒薔薇も私には効かないから扱えるし
瞑想もいつもの延長線に過ぎない。

別にマニゴルドの積尸気も悪くないが
めんどくさそうな予感がする。
色々な意味で。
故に却下だ。
シオンと童虎は筋肉系だから
シオンには悪いがこちらも却下だ。
どちらにしても選択肢はふたつだ。

「優斗よ。
 結論は出たか?」

傍観していた教皇さまが口を開いた。

「…アスミタかアルバフィカに
 お願いしようかと思います。」

「ほう……?
 まあそれが妥当かもしれんな。」

そう思うなら最初からどちらかを
指名しておいてくれれれば良いのに。

「それでは収まらない者もいるからな。
 お前の指名というのが大事なのだ。
 いっそ二人ともでも構わんぞ。」

「だから心の中を読まないで下さい。
 二人でって…任務があるでしょう?」

黄金聖闘士をたかだか神官の修行に
二人も付ける重要性はない筈だが
どちらにしろ、彼には勝てない。
悪餓鬼マニゴルドを更生する位だ。

「ある程度で交代していけば
 まぁ支障はなかろう。」

「…………………二人とも。
 異議があればどうぞ。」

「「ある筈ないだろう。」」

「………ありがと。」

素直に喜べない。
なんとも複雑だが師匠は決まった。


あとは、私が何を得るか…だ。
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