WJ作品

□デスノ連載_こんな生活も悪くない
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【第一章】

ついに今日からニアとの共同生活が始まってしまった…
くそっ、こんな奴に頼るなんて甚だ不本意だが、こうなってしまっては仕方ない。
まぁ…こいつなら俺が男だって分かってる訳だし、何より俺を相手に何かしようなんて思える筈がない。
結局こいつの傍が一番安全なのだ。


《第 一 話》


メロ
「おい、お前の寝室とやらに案内しろ。
兎に角疲れた…眠りたい」

ニア
「ああ…二階ですよ、階段を上がって手前の…」

メロ
「案内しろって云ってるんだよ!
手抜くんじゃねぇ」

ニア
「え…あ、はい」


俺が大切?俺が必要?
ふん…利用する為には嘘も方便ってとこか。
本当に大切ならもっと気を遣ったらどうだ。
全く…仮にも今の俺は身体が女物なんだぞ?
荷物ぐらい運んでやるのが男ってもんだろう。
所詮こいつには女の扱いなんてものはまるで分かっちゃいない。
いや、口ばっかりで俺を大切にする気など、さらさらないだけの話だろう。


ニア
「ここです…」

メロ
「…お前、本当にここ、使ってるのか?」

ニア
「え…?
あ、あぁ…ついソファでそのまま寝ちゃいますので、2〜3回しか使った事ないですね」

メロ
「冷蔵庫も空。
食器棚の食器も使った形跡なし。
無駄な物が多い家だぜ」


そうだ、家の中に入った瞬間感じた違和感…
余りの生活感のなさにモデルルームかと思った位だ。

まぁ…元々こいつには生活感なんてものは似合わないが、生きてる以上必要な物は何かとある筈だ。
浮き世離れしている…こんな奴と本当に一緒に暮らしていけるのか?


ニア
「そこの棚の中にパジャマやら下着やらは入っています。
殆ど手つかずで袋に入ったままですから、自由に使って構いません」

メロ
「お前のパジャマじゃデカいだろうがソ
大体女の俺に男物の下着をつけろと?」

ニア
「あ…そうでした」


………こいつ…暫く逢わない内に頭悪くなったか?
何だか上の空だし大丈夫なのか?こいつ。


まぁそんな事はどうでもいい。
俺は取り敢えず疲れた手足をベッドの上に投げ出した。
荷物の中に途中で買って来た着替えは入っていたが、疲れて着替える気にもなれなかった。


メロ
「…何だよ?
もう下行っていいぞ?
俺もう寝るから」

ニア
「あ…あの…」

メロ
「何なんだよ、さっきから…はっきりしない奴だな!
云いたい事があるならしゃきっと云えよしゃきっと!!」

ニア
「あ、あの、今夜一緒に寝ちゃ駄目ですか!?
不安なんです…目が覚めたら全てが夢で、あなたがいなくなってるんじゃないかって…」


はあぁ?
何云ってるんだ、こいつ?
自分はソファで寝るから寝室を使えとか云っとき乍ら…結局一緒にだと?
は…下心ってヤツか?
こいつにそう云う欲望があったって事に、ちょっと驚いたがな(笑)


ニア
「お願いです、メロ…
絶対何もしませんから!
神に…いえ、Lに誓って!
あなたを失うのが怖いんです!
私に対して慈悲の心が少しでもあるのなら、どうか私に情けをかけて下さい」


何もしない?
そんな訳ある筈ないだろう。
性欲云々は別として、俺を道具か何かだと思ってる様な奴だ、俺を利用しないなんて事は有り得ない。

大体何かにつけて俺の神経を逆撫でする様な行動を取って来る…俺が他に頼るところがないのをいい事に、結局は足下を見やがるんだ。
拒めば俺を追い出すと云えばいいだけの話だ、こいつにマイナスになる事は何もない。

俺には選択の余地なんてものはない…従うしかないんだ…!
そりゃあ…何処の誰とも知らない男に食い物にされる位なら、こいつの方が幾らかマシだろうが…俺のプライドがズタズタになる事に変わりはない。
やっぱりあの時死んだ方がよかったのか…恨むぜ、シドウ。


メロ
「…勝手にしろ」

ニア
「す、すみません…有り難う御座居ます!
本当に…本当に絶対何もしませんから!」


だから有り得ないだろう、そんな事。
俺の躰を弄び、尚且つ俺を嘲るつもりなんだ。
心も躰も汚すつもりで…ちくしょう!
ガキの頃からいつだって俺を馬鹿にしやがって…ああ、ニアの腕が俺の肩に…首に…


Lが…Lが生きていてくれたらこんな事にはならなかったのに…
Lになら喜んで抱かれるのに…

笑うな…!
貴様に俺を笑う資格はない!
何が楽しい!
俺は…俺……あれ?
な、何だよ、そんな…愛おしそうな顔……?
なのか?それは。
ニ…ア?
あれ……………?


ニア
「すぅ…すぅ…」

メロ
「ね…寝てやがる…
本当に?
何もしないで?
何だよ、この安心しきった顔!?
覚悟決めちゃった俺って何だったの!?」


散々大声でがなってやったのに、まるで緊張の糸が切れでもしたかの様に全く目を覚まさない。
おいおい…何で俺が傍にいるってだけでそんなに安堵出来ちゃう訳?
俺のこの火照った躰は?

………!?
躰が…火照る?
それじゃまるで…期待してたみたいじゃないか、この俺が…
ニアに…抱かれたかったのか?
まさか…

あれ程疲れていた筈なのに…俺は独り眠れぬ夜を過ごした。
目の前のこいつは気持ちよさそうに眠っていると云うのに…










ニア
「あ…いい匂い…
メロ、わざわざ朝食の準備までしてくれたんですか?」

メロ
「ああ…(むすっ)」

ニア
「でも吃驚しちゃいましたよ。
目が覚めたらあなたがいないんで、やっぱり夢だったのかって絶望しかけちゃいました。
あれ…どうしたんですか?目、赤いですね。
わ、美味しそうP」

メロ
「ただのハムエッグだろうが(むすすっ)」


結局こいつはガキなんだ。
添い寝して貰って安心してすぴ〜ってか。
覚悟決めた上に期待までした俺の馬鹿さ加減が浮き彫りにされちまった。
そうかよ、俺は抱く価値もない位魅力がないのかよ。


ニア
「あれ?
メロは食べないんですか?」

メロ
「食欲ねぇ。
睡眠不足なんでな」

ニア
「すっ、すみません!!
私のせいで眠れなかったんですね!?
今日からちゃんと一人で寝ますから。
あ、じゃあ私、下で静かにしてますから眠って下さい。
どうしても気になるなら出掛けますからホ」

メロ
「てめぇはお気楽でいいな」


今日から一人で…かよ。
完全に夜の営みは否定されちまった。
世の中ギブアンドテイクじゃないのか?
これじゃ俺はまるっきりただの穀潰しじゃないか。
お情けで住まわせて貰ってる可哀想な子扱いだ。
本当にただの同情…

俺のプライドを一番傷付ける扱いだ…


メロ
「寝る…上がって来んなよセ」

ニア
「あ、はい!
じゃあ…私出掛けますね?」

メロ
「勝手にしろ」


ニアが出て行って…俺はこの家に独りになった。
そして…







この躰になって初めて自分で慰めた。
女がアノ時声出す筈だ…
こんなに…くそ。


いつか…いつか絶対ニアにこの躰抱かせてみせる!
意地でも魅力的な女になってやる〜!!!!


ふん…目標があれば…こんな躰も悪かねぇさ。
《続》




◆あとがき◆
もうメロちゅったらっ、スキモノなんだからっ♡
にゃ〜に抱き締められて濡れちゃった?濡れちゃった!?
どきどきして眠れなかったのね(悦)
なのに焦らされちゃって可哀想…(しかもにゃ〜に自覚なし)

大丈夫、ちゃんと幸せにしてあげるからねっ。

ちょっと乙女なメロちゅってどうですか?(笑)
まだまだ続きますよイ
2006/04/19
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