WJリクエスト
□共犯
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月
「あれ、父さんは?」
大学からLと連れだって捜査本部へとやって来た月は父がいない事に気付き、ビデオとにらめっこをしている相沢に尋ねた。
相沢
「朝日さんなら次長の処へ定期報告に行ってるよ」
本部内では用心の為、名前も役職も実際とは違うものを使う。
月も父と自分が『朝日』と呼ばれる事にもう慣れた。
月
「どれ位で戻ります?」
相沢
「さあ、日によってまちまちだから…
でも出掛けたばかりだからすぐには戻らないと思うよ」
月はしめたと思った。
父の恋人であるLに心底入れあげている彼にとってはこれ程のチャンスはない。
邪魔者がいない内に鋭い推理を見せればLの気持ちも自分に傾くに違いない、そう云う魂胆だ。
月
「僕達だけで先に始めよう竜崎、まず何から取り掛かる?」
そう云って月はLにウィンクした。
相沢
「月君、君何か勘違いしてない?」
月
「な、何です相原さん、藪から棒に…」
松田
「邪魔者がお父さん一人だと思ったら大間違い、って事ですよ」
相沢の代わりに松田が答えた。
Lを狙っているのは何も月だけではないと云う事を暗に強調しているのである。
リューク
『て事はライト、こいつら全員ライバルってこったな』
月
(お前もだろ、リューク)
つまりはここにいるL本人以外全てが恋敵であると云う事になる。
松田
「何やら根拠のない自信がある様だけどね月君、僕達の方が竜崎との付き合いは長いんだからそう易々とは君の思い通りに事を運ばせないよ」
相沢
「お、松井いい事云うね〜。
ま、そう云う訳だからヨロシコ」
月
「望むところです」
まさに今、漢たちの熱い闘いの火蓋が切って落とされた。
月
「なぁ竜崎、この日記を見る限りでは第二のキラは女性じゃないかと僕は思うんだ」
相沢
「そうそう竜崎、ビデオを見て気付いた事なんだけど…
ほら、ここ見てここ」
松田
「竜崎〜、ロイズの生チョコあるんだけど食べない?
今紅茶淹れたげるよ」
各人それぞれ好き勝手にモーションを掛ける。
L
「そうですね月君、女性と云う線は強いと思います。
相原さん、それは単にノイズと思われますが…
松井さん、戴きます」
しかし肝心のLには全く彼らの意図が分かってない様で、事務的にてきぱきと対応をこなした。
しかもリュークが自分の姿が見えないのをいい事に、Lに抱き付きあまつさえ頬摺りまでしている。
この闘いリュークが一歩リードか?
月
(リュークはいい、リュークは。どうせ何をしたところで一方通行だ。相原さんも問題ないだろう。しかし松田さんはなかなかのイケメンだし、学生の僕と違って甲斐性が…くそぅ、何かひとつ決め手になるものは…)
月の頭の中では計算まこちゃんの如く、凄まじいスピードで計算がなされていた。
いっそデスノートで操ってもう一人キラをでっち上げ、そいつを捕まえて(既に死体だが)いいところを見せれば…
そんな事まで考え始めた頃。
『竜崎、電話に出てくれ』
聞こえて来たのは父の声、Lの携帯に父からの着信があった事を知らせる着声だ。
L
「皆さん、今日はもう帰っていいです」
闘いも佳境と云う時に、電話を切るなりLはそう云ってのけた。
L
「朝日さん、今日は戻れないそうです。
ドームへの道を封鎖する警官隊の手配で明日の朝までかかるそうですから。
警官隊の配置が分からない以上ここでうだうだ喋ってても仕方ありませんので各自休養を取って下さい」
唖然とする一同を追い返すと、Lはおもむろにプライベート携帯で電話を掛け始めた。
L
「あ、総一郎さん(はぁと)
邪魔者は追い返しましたのですぐに戻って来て下さい(はぁと)」
どんなに鈍いLにも流石に彼らの熱烈なラブコールはうざかった様で、総一郎からの電話の内容を偽る事でまんまと彼らを追い出す事に成功したのだ。
その後戻って来た総一郎に膝枕で耳掃除なぞしながら愚痴をこぼす。
かなり私情の混じったLの行動に総一郎は『悪い子だ』とだけ云って笑った。
《終》
◆あとがき◆
蜜子様、リク有り難う御座居ました。
ご期待に添える様なモノはちゃんと書けていたでしょうか?
くんづほぐれつとまでは行けてない気もしますが、一応争奪戦展開と云う条件は満たせていると思います(笑)