銀英伝
□大江戸英雄伝説
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【其の壱】
ここは大江戸八百八町。
夕暮れ時、江戸城のとある一郭にその男・春人は一人佇んでいた。
彼はこの城の主、征夷大将軍・古井戸理非に仕官する武士の一人である。
示威紅
「春人様、ここにおいででしたか」
春人
「ああ、ここからは姉上のいる大奥が見えるからな」
示威紅
「楼世様が大奥に入られてから、もう何年になるでしょうか…」
春人
「あの色惚け将軍め、せいぜい今の内に権威に胡座をかいておれ。
だがいずれ天下を執るのはこの俺だ」
平安の世であれば元服したばかりの子童が、何を大それた事をと一笑に付されたであろうが、時は戦乱の世。
この頃の幕府は数百年の永きに渡り、江戸より遥か南に位置する琉球自由同盟軍との戦に未だ決着をつけられないでいた。
敬愛していた美貌の姉を取り戻すべく、この若者が天下統一の野望を抱くに相応しい時勢。
戦は彼に立身出世の途を指し示し、またこの若者にはその才があった。
その異例の速さの出世は寵姫の弟である事への優遇だけでは片付けられない、凡人には計り知れぬ智才あっての正当な評価であったのだ―――
物々しいオープニングですが、全編通してギャグです(笑)