ヒカルの碁

□短編集
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○出逢いの確率1

「おばさんどっか他に碁が打てるとこないかな」

「え?そりゃあるにはあるけど
確か今日裏の児童会館で子供囲碁大会をやってた筈よ」

「よっしゃーっ行くぞ佐為!!」


碁会所にヒカルと云うライバルが現れなかったのでアキラはこの年、小学生でプロ入りを決めた…


●出逢いの確率2

「新しく張ったポスター詰碁の問題書いたろ!」

ガラッ

「え……うん…それがどうしたの筒井さん」

「答え書いた子がいるよ!ホラ!しかも正解なんだ!」

「いるんだ碁を打てるやつが!」

「これ上級者向けだから強い子だよきっと」

「コイツをさがせばいいんだな!」

「私それ書いた子知ってる」

「だれ!?」

「なんでおまえが知ってんの!?」

「だって見てたんだもんちょうど
でも後姿だけで誰か迄は分かんない」

「それじゃ知ってる事にならねーだろ!!」

お陰様で囲碁部は今も部員二人です…


○出逢いの確率3

「烏帽子をかぶったオバケねェ……」

「ウワサだがなウワサ」

あの碁盤は
兄さんが死んだ時
形見分けで
もらったんだ

この碁盤
オバケがでるって
ウワサがあって

あの人それをおもしろがって
古物商から
買い入れたの

気味ワルイから
燃やしちゃいたいけど
それもなんだか
コワイし………

いいよ
碁を打つのは
ワシくらいだから
ワシがもらうよ

見たとこ
いい碁盤じゃないか
御祓いして蔵に
しまっとくさ

そのうち
オバケも
出ていって
くれるだろう

「御祓い………」

「ハハハ結局そんなオバケ一度も見なかったから御祓いはしなかったんだけどな」

(もしそん時御祓いしてたら佐為には逢えなかったんだな)

『そうですね、じーちゃんに霊感がなかった事を感謝しましょう♪』

実はばーちゃんには佐為が見えていたが、目の保養の為に黙っていたのは内緒な方向で(笑)


●出逢いの確率4

「で?お前一体何者なんだ?」

『平安の都で大君に囲碁を教えていた』

「平安……?囲碁……!?」

『しかし私以外にもう1人大君の囲碁指南役がおってな、藤原佐為と云ったが…私はそれが面白くなくて大君に進言したのだ!
《大君
囲碁指南役は1人で十分、対局にて雌雄を決し
勝者のみをお召し下され》
…とな』

「へえ……それで?戦ったんだろ
どっちが勝ったのさ」

『くうぅ、それが大君は
《余はむさ苦しいそちよりも佐為の君の方が可愛いのじゃ。そちはもう指南役を降りてもよいぞ?てゆーか来なくていいから(はぁと)》
と申されたのだ!』

(そりゃそうだろうなぁ…オレだってやだよ、こんなオッサン…むさ苦しい上に偉そーだし)

『顔がむさ苦しいと云う理由で都を追い出された私に生きる術などない。2日後に入水したのだ』

「で?オレに乗り移ったのはまだ碁を打ちたいワケ?」

『当然だ!今度と云う今度こそは私1人が大君の囲碁指南役となり、私の名を日の元の民に知らしめてやるのだ!』

「あのさ、オレがお前の云う通りに碁を打って名声を轟かせたところで有名になるのはオレの名だぜ?平安時代のお前の事なんか知ってる奴誰もいないんだし」

『!!?』

(バカじゃんコイツ…やだやだ、付き合ってらんねー)


数日後ヒカルはお祓いを受けて悪霊は退散した…
出逢ったのが佐為でなければ進藤ヒカルと云う棋士は生まれなかったと云うお話(笑)
《終》
2005/02/15


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