ヒカルの碁

□あなた変ったわ…
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『ヒカル、ほらあれ。
星飛雄馬のお姉さん』

「あ?佐為、何云って…げ(汗)」


佐為の指さした方向には本来なら授業中な筈のアキラが星明子よろしく校門の影からじっとこちらを窺っていた。


「怖えーな、あいつ…ここ迄来たら完全にストーカーだよ。
学校はどうしたんだよ学校は。さぼりか?」

『塔矢の寺子屋、今日は開校記念日か何か?
あ、かめら出しましたよ、かめら!』


アキラはこちらがアキラの存在に気付いている事が分かっていて、それでも物怖じもせずバッグからカメラを取り出しヒカルを撮影し始めた。
しかもビデオ・デジカメ・携帯と代わる代わる撮りまくっている。


『うわぁ、あれ絶対待ち受けにする気ですよ…ヒカルの体操着姿、今夜のおかずにされたりして』

「シャレんなんねー…」

『声かけてみたら?』

「こっちは授業中だっつーの!」

『でも先生が塔矢に気付いてこっち来ますよ?』


佐為の云う通り体育教師がアキラの方をちらちら見乍らこちらにやって来る。
他の生徒達もざわつき始めているので授業にならない。


「進藤…頼むよアイツもう…
あれじゃまるきり変質者だぞ?友達は選べ?」

「いや、別に友達って訳じゃ…」

「兎に角アレは他の生徒達にも動揺を与える。
刺激しない様に丁重に帰って貰え」


育ちのいい子供しか通わないと云われている海王もアキラ一人の為に評判を落としつつある。
今日は私服だがいつも学校帰り制服のままで待ち伏せしているからアキラが海王の生徒である事は葉瀬中の生徒には既にバレバレだ。
校舎の中からも身を乗り出して覗き見している生徒も出始めているのでアキラに話しかけるのはかなり恥ずかしい。
しかし体育教師が目で早く行けと急かすのでヒカルは仕方なく校門の傍までとぼとぼと歩み寄った。


「あ、ごめん進藤。授業の邪魔する気はなかったんだけど」

「学校の部外者がカメラ持ってうろうろしてる時点で目一杯授業の邪魔だよ!
お前学校はどうしたんだよ」

「今日は海王開校記念日だから」

『やった!ヒカル、私正解ですよ♪』

「(そんな暢気な…)
兎に角、オレが先生に怒られちゃうよ!
写真なら後で幾らでも撮らせてやるから取り合えず帰れよ、お前」

本当は写真など撮られたくはなかったが、これ以上騒ぎが大きくなるのはもっと困る。
ヒカルはアキラを納得させると何とか追い返す事に成功した。




「進藤、昼は済まなかったな。こないだ手合い料が出ただろ?それで新しくカメラを買ったから何か撮りたくて仕方なかったんだ♪」

「だからって授業中に撮りに来る奴がいるかよ!オレがどんだけ恥ずかしい思いをしたと思ってるんだよ!」

「もっと恥ずかしいポーズとかで撮らせて貰えると嬉しいんだけど」

「仕舞いにゃ殴るぞ、お前…」

『強者ですね…(汗)』


何がアキラをこう迄変えてしまったのか…一度家に帰って恥ずかしい衣装まで用意して来たらしい。メイド服(ミニ)から始まってチャイナドレス(ミニ)にナース服(ミニ)…ありとあらゆるイメクラ衣装を旅行鞄から取り出して見せた。


「これを着た進藤はきっと天使の様に可愛いよ(うっとり)」

「頼む…誰かこいつの脳みそスチールだわしで洗ってやってくれ…」


また学校まで来られては溜まらないので罪のない笑顔でせがむアキラに為す術もなく云いなりになるしかないヒカルであった…
《終》


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