WJ作品

□デスノ連載_こんな生活も悪くない
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【第二章】

メロが怒りん坊なのは知っていたけど…昔はこんなに毎日苛々していただろうか…

常に怒っている。
常に機嫌が悪い。

私が傍にいる時はことのほか苛々も酷い様だ…
だから悲しくなる。

いや、私の感情などどうでもいい。
メロには本当に幸せになって欲しいのに―――



《第 二 話》


ニア
「メロ、お風呂お湯溜まってますよ?
お先にどうぞ」

メロ
「…ニア、お前いつまで働きもしないでこの家に隠ってるつもりだ?
喪に服すって、俺は生きてただろうが」

ニア
「あ…すみません。
私なんかに世話を焼かれるのが煩わしいんですね?
分かりました…明日からでもまた探偵業に復帰します。
あなたがふらりと出て行ってしまうんじゃないかって心配でつい…」


メロはここを出ても行く処がないと云っているけど、私を嫌っている以上いつでも出て行く気でいるだろう。
だからつい世話を焼きたくなる。繋ぎ止めておきたくて…


ニア
「逆効果だって事は分かってるつもりなんですけどね…」

メロ
「何か云ったか?」

ニア
「いえ…あ、お湯冷めちゃいますよ?」


レスター指揮官達は何も云われずとも、毎日あの本部に集まり世界の動向に目を光らせている。
何せ裁く者がいなくなったのだ。
今までなりを潜めていた犯罪者達が次々犯罪に手を染める。
だから本部へ行けば寧ろ私の仕事は溜まっていると云う程あるだろう。

ただ…メロと離れたくない。
それでは私と離れたいメロには益々嫌われるばかりだ。
本来ならこの家に無理に共に暮らさずとも、目の届く位置にメロの為に家を建ててやる位の事をしてやらなければいけないのだろうが、私の我儘がその事に気付かない振りをさせている。
メロ自身本当はそうしたいのだろうが、彼のプライドが情けをかけられる事を拒んで云い出さないのだろう。

どう考えたって私達が結ばれる訳はない…
分かってはいるがせめて傍にいれる間は、と縋ってしまう。
メロの幸福を第一に考えると口では云っておき乍ら。
私はこんなに情けない人間だっただろうか…?


ああ…こんな気持ちを知られたらメロは迷わずこの家を出て行ってしまうのだろう…
だから私は自分の想いを隠し通すしかないのだ。
今ではすっかり興味の失せてしまった玩具達に夢中になった振りをして、ちらりちらりと彼を盗み見る事しか許されないのだろう…


メロ
「あ〜、さっぱりした。
ニア、新しいお湯溜めておいたぞ?
少し熱かったかも知れんがな」

ニア
「あ、じゃあ少し冷めてか………!?」

メロ
「何だ?」

ニア
「い、いえ、何でも…
ぶ〜ん、キイィ―――ン、ガガガガ!」

メロ
「………ガキ」


メ…メロ、何て格好を…!!
お風呂上がりたからって…そんな、キャミソールとトランクスだけの姿でっ!
あ…あぁ…谷間が…谷間がっホ
あああ脚を組み直さないで下さい、悩ましいホ

物憂げにソファに腰掛け、露出した肌を意にも介せず雑誌など興味なさげに捲る姿も絵になっている…
洗練された都会の女性にも見えるし、男を魅了してやまない女神とも…
り…理性が何処かに吹き飛びそうだ…


ニア
「キュンキュンキュン…ズゴゴーン!
ガシャン、ゴーっ!!」

メロ
「うるさい…」

ニア
「あっ、はい、すみません」


そうでもしてなきゃ自分を抑えられないんですよ!
分かって下さい!
い、いや、分かられちゃ駄目だ、メロに出て行かれてしまう!

もう…誘っているのか!?ってなポーズはやめて下さい!
本当に私の事を子供だと…いや、そもそも男だと思ってないんですね!?
寧ろ自分が女性だと云う事を忘れてるのか!?


ニア
「な…何ですか何ですか?メロ…
何も面白い物なんか持ってませんよ?
少なくともあなたが見て面白い物は」

メロ
「いいからそれよく見せろよ。
は〜ん、別々のプラモを無理矢理繋げたんだな。
道理で不自然な形してると思った」

ニア
「あ、あんまり近付かないで下さい…っホ」


あああ、胸の膨らみが当たる当たる当たる!
そんな覗き込まないで下さい!!
うわ、谷間が目の前にっ、生足が私の膝にかかってるかかってる!
ま、まずい…!


ニア
「そ、そろそろ私もお風呂に…
もう冷めてるでしょう」

メロ
「い、いきなり立ち上がるなよ、吃驚したな…」


別の処も立ち上がっちゃったんですよ!
こんなもの見られたら終わりです!!
全く何て罪な人だ…こんなに私の心乱して…

ああ、あの柔らかい肌を私だけのものに出来たら…
あの張りのある形の良い乳房をこの手に包み込めたら…
そして私の………をかの泉に沈める事が出来たなら…

ああぁっ、駄目だ!想像しただけで…出そう!!


バタンッ

ジャ―――――ッ!!

ニア
「あぢあぢあぢ、熱ぅっっ!!」

メロ
「何やってんだ、あの馬鹿…ソ
ったく、人が誘ってんのにそんなに魅力ないかっつーの」

ニア
「ななな何か云いましたかーっ?」

メロ
「別にーっ」


慌てたせいで危うく火傷するとこだった…
そして出てしまった…
でも…もう少し抜いとこ。
溜まってるから妄想であんな事になってしまうんだ、そうだ。

ニア
(ああ…私は一体何をしているんだろう…
嫌われている癖に好きで好きで…相手にもされてないのに義理立てして他の女性も抱けない…)


私はバスタブの縁に腰掛け、独り自分自身をしごいていた…メロの姿を想い浮かべ乍ら――
ああ、益々さいて…


がちゃっ

メロ
「おいニア、コンビニ行って来るけど何か欲しいも―――何やってんだぁっ!?」

ニア
「あっあっあっ!?
メロおぉっ!?」

メロ
「お前…さいってーだな!!」

ばたんっっ!!


あ…ああ…
見られた…見られたあぁっ!?
終わりだ…何もかも…
メロはもう…二度とここへは戻って来ない………




ニア
「小さな家を建てたつもりだったけど…広いな、メロがいないと…
また…独りぼっちだ…」


意味もなく声に出して呟いてみる。
やけに声が響いて聞こえた…

メロが生きてさえいてくれたらそれでいいなんて嘘だ…
傍にいてくれないと私は生きて行けない…


ニア
「メロ…メロ…メロ…
お願いです…帰って来て下さい…
私はあなたなしでは生きられない…
あなたが帰って来てくれるなら…こんなものは切り落としてしまったって構わない…
どうせ結ばれないのだから…私には必要のないものなんです。
あなた以外の誰かを抱きたいなんて思えない…だから…メロ…」


私の声が届く筈もない。
メロは…メロは誰の元へ行くと云うのだろう…
もう二度と逢う事は叶わないのか…
メロ…あなたは今何処に………












メロ
「なーっ、あったま来んだろ?
俺と云う女がい乍らな〜んで風呂場で自分で抜くかな!
そんな俺って魅力ねぇ!?」

屋台の親父
「そりゃ姉ちゃん、あんたその喋り方がまずいんじゃねぇ?
もっと女らしくしなきゃカレシに可愛がっちゃ貰えねぇよ?」

メロ
「それが出来りゃ苦労はしねぇよ!
親父、もう一杯!!」

親父
「カレシ心配してっぞぉ?
もう帰って安心させてやれって」

メロ
「どーせ帰ったってあいつは俺の事なんか可愛がっちゃくれねーんだよ、ちくしょーっセ」


その日の夜明け…全てに絶望し、床に座り込んだままの私を飲んだくれて帰って来たメロが発見してくれた…

よかった…メロ、帰って…帰って来て…くれた…ん…ですね……


メロ
「ばっか、お前!
何やってんだ!?
風呂から上がって床っぺたなんかで寝てたら熱出すに決まってるだろ!!
そんなに仕事したくないのか!?
今日から働くって云ってた癖に!!」


かなりお小言をくどくどと云われたが、何だかんだメロは優しく私を看病してくれた…
こんなに汚い私を…メロは許してくれるのか…?
ああ…私だけがこんなに幸福でいいのだろうか…


メロ
「全く心配かけやがっ…うぷ。
やべ、飲み過ぎた…」

ニア
「メロ…?」

メロ
「頭痛ぇ…寝る!
お前もっとそっち詰めろ!」


ああ…本当にこんなに幸福でいいのか…?
メロが私の隣で…

かなりアルコール臭がきつかったが…それでもメロと一緒なら、こんな生活も悪くない…
《続》



◆あとがき◆
あはは〜、今日は二本も書いちゃったイ
やっぱ春の書きたい病発病?(笑)
ちゃんと公開用もアップしたから通算三本ですよ、三本!

いやぁ〜、それにしてももどかしいですねぇ、メロちゅとにゃ〜(笑)
ちゃんと結ばれる日が来るんですかねぇ?
いや、結び付ける気満々なんですが(確定)
すみません、まだ暫く続きますイ
2006/04/19
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