泥棒夢

□お互い様
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ネオンの灯りが眩しい煌びやかな街の郊外に、そのバーはあった。


外の艶やかな雰囲気に疲れてしまった者の目を癒す、落ち着きのある内装。


店には1組の男女が、奥のテーブルを陣取っていた。


女の方は背中まであるこげ茶の髪に、黒のタイトなスカートスーツを合わせている。


一方男の方はというと…


この店の雰囲気に合わない、というか現代のファッションたるものにそぐわない、いかにも江戸の侍といった風貌をしていた。



「ねぇ…五エ門は何頼む?」



女が先に口を開いた。



「せ…拙者日本酒に致す」



男の方は五エ門というらしい。


この雰囲気に不慣れなのか、どこかオドオドしている。



「んー、たまには違うお酒も飲んでみたらどう?お酒には強いんでしょう?私はバレンシアにしようかしら」



「それはそうだが、拙者日本酒n…。」



「マスター、バレンシアとバーボンのストレートを1つずつお願い」



「なっ…!」



「かしこまりました」



そう言い残してカウンターに引っ込んだマスターを横目に、女は完膚なきまでに見事で爽やかな笑顔を五エ門に向けた。



「本当に雫殿は…」



「あら、殿は付けない約束よ?」



女の名は雫というらしい。
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