泥棒夢

□名前をそっと
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私の、銃。

それはS&WM36LS(スミス&ウェッソン モデル36 レディ・スミス)と言う名前らしい。

主に女性の護身用として開発された物で、この間不二子ちゃんと買いに行った。

不二子ちゃん曰く、雫ももうそろそろ銃を持って自分の身くらいは守れたほうが良いんじゃないの、と言う事らしかった。

あらかじめルパンはこの事を知っていたようで、家に帰ると真っ先に良かったね、と頭を撫でてくれた。

五エ門は大丈夫かと何回も聞いてきた。

大丈夫、と明るく返すも彼の顔は曇ったままだった。

ところで、心配なのは次元の反応。

何でかって言うと両極端で、あからさまに上機嫌になるかその逆か。

反応が読めない。

あとは……好きだから、かな?

勿論ルパンも不二子ちゃんも五エ門も大好きだけど、次元に対しての「好き」とはまた違う…ような気がする。

だからこそ次元に不機嫌になられたら、尚更傷付くっていうか…。

1人で暗くなって、ソファに腰掛ける。

その時、不二子ちゃんが私の隣を陣取った。

「ねぇ、雫?」

「ん?」

銃について何か、教えてくれるのだろうか。

「貴女が心配しなくても、次元はきっと喜んでくれるはずよ。だって彼、雫の事が本当に好きなんだもの。」

急にその話題を振られて驚いたが、彼女の声はとても澄んでいて、聞いていて気持ちが良かった。

「好きって…どうせ仲間として、でしょう?」

多分そう。

年齢も全然違うし、まず私なんて元々対象外だね。

次元にはもっと相応しい人がいるよ、きっと。

「さあ、それはどうかしら?」

え?

「もう少しで次元が帰ってくるわ。そしたら銃を教えてもらいなさい。良いわね?」

「でも銃なら不二子ちゃんだって…。」

「駄目よ。私のは貴女や次元と違ってオートマチックだし…。それに、ね?」

不二子ちゃんは何かを言いかけて部屋から出て行った。

それを合図にしたように、ルパンと五エ門も自室へ。

2人とも私と目を合わせて微笑んでくれた。

なんだ、みんな知ってたんだ。

じゃあもっと早く相談しておけば良かった。

悩んでたのがバカみたい。

ドアの開く音がした。

と同時に漂うあの匂い。

お帰り、そう言って私は彼を迎えた。

続く
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