【短編】現代(白澤×鬼灯)
□檻外の愛情
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『・・・・・・。』
無残な死を遂げた後、死後の世界だろうか・・・不思議な空間を彷徨っていた。
どれだけ歩いても同じ景色。
・・・私は、死んだのか。
・・・これから、どうしよう。
この先に何が待ち受けているのか・・・
この身は一体どうなるのか・・・
何も分からない儘、ただ真っ暗な空間を彷徨い歩く。
ふと、音ひとつ無かった世界に小さな声が響いた。
『いい子だね。さあ、おいで・・・。』
『だ、誰・・・?』
脳髄まで確かに届く、力強くも優しい声。
声の主を探していると、目の前に仄かな光が現れた。
『大丈夫、手を伸ばしてごらん?』
『・・・・・・。』
何故か、疑うことはしなかった。
その声に惹かれるままに手を伸ばせば、指先に温かいものが触れた。
それを掴めば、優しく握り返された。
『そう、いい子だ・・・』
私が掴んだものは、大きくて暖かい大人の手だった。
『もう大丈夫・・・さあ、行こう。』
『あの・・・貴方は・・・ッあ・・・!?』
思考がまともに働かず、己の置かれている状況が理解できない。
手を引かれた所で、何もかもが途切れた。
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