【短編】現代(白澤×鬼灯)

□白澤さん宅でお夕飯
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【翌日】

少し早めに店を閉めて、僕と桃タロー君は夕飯の支度を始めた。

それからが非常に忙しかった。

「白澤様〜買い出し行ってきましたよ。」

「あぁ、ご苦労様〜」

桃タロー君に買い出しを頼み、僕は家の掃除。

すっごい久しぶりに台所の掃除した。

「冷蔵庫入れておきますね〜」

「謝謝〜♪」

「結局、何作るんすか?」

買ってきた人参、南瓜、蓮根、茄子、獅子唐を次々に冷蔵庫へしまっていく桃タロー君。

「ん〜〜?天麩羅だよ〜」

「あ、鬼灯さんが日本人だから?」

「いや、昨日テレビで天麩羅の作り方やってたから。考えるの面倒いからコレでいいやって思った。」

「・・・・・・」

「ところで、アレ買ってきてくれた?」

「え?ああ、買ってきましたよ。」

手渡された小さな袋。

中身は青唐辛子。

「そんな辛いもの、どうするんです?今日使うわけじゃないでしょ?」

「いや、今日使う。」

「・・・え、今日天麩羅でしょ?」

「そうだよ〜獅子唐も買って来たよね?あれと青唐辛子、形似てない?」

「・・・・・・だったら何です?」

「両方揚げて同じ皿に盛る。素揚げじゃなくて衣付きで♪」

「で?」

「奴が全部獅子唐だと思って、青唐辛子を丸呑みする。はい、死亡。」

ぱんっ、と手を叩き満面の笑みで言う。

「・・・バカだろ、お前。」

「何でさ〜あいつ辛いのダメでしょ?あいつの悶え苦しむ姿が見られるんだよ?それこそあのガセ雑誌のいいネタじゃん♪」

「下衆だ・・・・・・」

桃タロー君のゼロの表情に耐えながら、2人で夕飯の支度を進めた。











「お邪魔します。」

「あ、鬼灯さんお待ちしてましたよ。どうぞお入りください。」

桃タロー君が笑顔で鬼灯を家に招き入れた。

「いらっしゃい、遅かったね。」

「すみません、月末処理が追いつかなくて。」

ため息を吐きながら怠そうに座る。

相当疲れてるな〜

でも、大丈夫!

僕のお手製天麩羅を腹いっぱい食べればそんな疲れ吹っ飛ぶよ。

ふふふふふっ・・・

「白澤様、顔が気持ち悪いです。」

「桃太郎さん、それは元からです。指摘しては可哀相ですよ。」

「お前ら酷くない??!!!」

項垂れる僕を完全に無視する桃タロー君は、黙々とテーブルを片付ける。

「ほら、出来たやつ運びますから白澤様はお茶淹れてください。」

「ん?ああ、はいはい〜」

茶器を出してお茶を淹れていく。

その間に桃タロー君が大皿を次々とテーブルに並べていく。

「さ、鬼灯さん先に召し上がって下さい。」

「天麩羅ですか。」

「角煮とローストビーフじゃなくて残念でした〜」

べーっと奴に向かって舌を出す。

「構いませんよ、そのうち私が直々に料理して差し上げます。」

「んなことあって堪るかよ。」

さらりと恐ろしいことを言う鬼灯。

「さ、さぁ鬼灯さん、遠慮せずにどうぞ。」

「ああ、すみません。いただきます・・・」

鬼灯が箸を伸ばしたのは南瓜だった。

ちぇっ、緑のロシアンルーレットには行かなかったか。

ま、いいや。

いつか当たるだろう。

「衣がしつこくないですね。美味しいです。」

「ですよね、俺も白澤様が作る天麩羅大好きなんです。」

「だろだろ〜??もっと褒めても良いんだよ♪」

「ま、ああやって図に乗るから対してすごいとは思わないんですがね。」

「同感っす。」

「おいおいおいおいおいおい。」

悪態を吐きながら僕が作った天麩羅をもりもり頬張る2人。

言動と行動が一致してないぞ。

「白澤様、食べないんですか?」

「ああ、僕はこっちから・・・」

大吟醸が入った一升瓶をどんとテーブルに置く。

「やっぱ揚げ物には日本酒だよね〜」

グラスに注いで一気に仰ぐ。

「っはあぁ〜〜酒が無いとやってられないねぇ〜♪」

「発言が爺。」

「うっさいな〜お前も飲めよ、ほら。」

ずいっとグラスを鬼灯に押し付ける。

「いえ、結構です。明日は早朝会議がありますので。」

「仕事バカだな〜じゃあ、これ全部空けちゃうよ?」

「どうぞ、ご勝手に。」

ちぇ〜つまんない奴。

瓶を傾けては煽っての繰り返し。

ものの数分で一升瓶は空になってしまった。

「白澤様、そんな一気に飲むと酔いが早く回っちゃいますよ?」

桃タロー君の言葉が心なしか反響して聞こえる。

「・・・もう手遅れのようですよ、桃太郎さん。完全に酔っ払ってます。」

「・・・みたいですね。」

鬼灯と桃タロー君が何か言ってるみたいだけど、よく聞こえない。

ふわふわする〜

気持ちい〜〜〜〜♪

さ、僕も食べよ〜

箸を取って、皿に伸ばす。

「やっと食べる気になりましたか。」

「あ、白澤様・・・それ・・・」

箸で掴んだものを口の中に放り込む。

「あーぁ・・・当たってないと良いけど・・・」

「・・・?どういうことです?」

ゆっくり咀嚼していると、少しずつ違和感が出てきた。

ん・・・?

僕、何食べた?

自分が箸を伸ばした皿を見やる。

緑色のものが山盛りになっている。

確かあれは、獅子唐だ。

なのに・・・

辛・・・い??

「辛あぁ◎♨▲w◇★☓▽○〜〜〜!!!!!!」

「・・・ああいうことです。」

「成る程。」

そうじゃん!あいつの辛さに悶え苦しむ姿をガセ雑誌のネタにするんだった!!

何この展開??!

僕、ものすっっっごくバカじゃん!!!!

「獅子唐と青唐辛子を衣付きで揚げて、同じ皿に盛ったんですよ。鬼灯さんが青唐辛子を食べて苦しむ姿を見たかったらしいですよ。」

桃タロー君!僕の陰謀暴露してないで水持ってきてよ!水!!!

いくら辛いもの大好きでもコレはいかん!

「ほぉ、こいつの計画では私はこうなる予定だったんですか。」

のた打ち回る僕を指差す。

「そうだったみたいですね。」

「で、仕掛けた張本人がこの有り様。」

「そうです。」

「白澤さん、」

床に這いつくばる僕の前にしゃがむ鬼灯。

「バッッッッッッッッッッッッッカじゃねーの?」

ゼロの顔で僕に言い放つ。

唖然としている僕のすぐ横に水を置く桃タロー君。

「1つお利口になりましたね、師匠?」

2人はそのまま席に戻り、何事も無かったかのように食事を再開した。

僕、こんな恋人と弟子を持って幸せです。












昔、祖母の家でBBQやったときに「獅子唐だよ」って言われて食べたのが青唐辛子だったということが実際にありました。
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