【短編】現代(白澤×鬼灯)

□添い寝
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「バカなこと言ってないで、さっさと薬作ったらどうです?」

口ではそう言っているが、頬がもう真っ赤だ。

「はいはい、さっさと作って鬼灯に添い寝してもらおっと。」

「何言って・・・」

「その為に来てくれたんでしょ?」

鍋に追加して入れる生薬を取りに薬棚へと足を向ける。

後ろで鬼灯の抗議の声が聞こえる。

でも、それは単なる照れ隠しだということは知っている。

取り出した生薬を小刀で刻んでいく。

とんとん、と小気味良い音が店に響く。

「ねえ、今日泊まっていくでしょ?」

「何言ってるんですか、明日午後一で出勤ですし、まだやり残した仕事が山ほどあるんですよ。」

やれやれと肩をすくめながら、カウンターの上に乱雑に積んである本に手を伸ばす。

「貴方でも本読むんですね。何でも知ってる神獣でしょう?」

「僕だってたまには本も読みたくなるよ〜」

鬼灯と話せるのが嬉しくて、自然と笑みが零れる。

徹夜の疲れも吹っ飛びそうだ。

ぱらぱらとページをめくる鬼灯を見ていると、左指に激痛が走る。

「痛・・・っ!!」

がちゃんと小刀を取り落す。

痛みが走った箇所を見ると、左手人差し指の先が裂け、そこからどくどくと血が溢れ出ていた。

「?!何してるんですか!!」

僕の指を見た鬼灯は血相変えてこちらに近づいてきた。

「え、ほおず・・・」

「お黙りなさい。」

ぴしゃりとそう言った鬼灯は、僕の左手を取ると血を流し続ける傷口に躊躇いもなく唇を近づける。

ぴりっとした痛みが走る。

鬼灯が僕の指を口に含み、流れ出る血を啜っていた。

「ちょ・・・」

強めに吸われて、微かに眉を寄せる。

「はぁ・・・徹夜明けの奴が余所見して刃物など使って・・・危ないでしょう?」

僕の指から口を離して、上目遣いで僕を睨む。

「え、あ・・・ごめ・・・っ?」

突然、腕を掴まれて奥の部屋へと引っ張られる。

「鬼灯・・・わぷっ!!」

ぽい、とベッドに放られる。

「寝なさい。これ以上、見ていられません。」

上から有無を言わせない声が降ってくる。

「鬼灯、ごめんね・・・傷ならもう大丈夫だよ、ほら・・・」

傷が完全に塞がった左手を鬼灯に見せる。

それを見た鬼灯は眉を寄せる。

「それでも、ダメです。自分で自分を傷つけるなんて・・・。
貴方は疲れてるんですよ、自分じゃ気付いてないかもしれませんが。」

僕に覆い被さって抱きつく鬼灯。

「ですから、このまま寝て下さい。」

鬼灯は僕の横にころんと転がった。

「鬼灯、」

「ほら、して欲しいんでしょう?添い寝。」

布団を引っ張り上げて、腹に掛ける。

「・・・うん、ありがとう。よく寝れそう・・・」

再び訪れた睡魔に抗うことなく、そのまま目を閉じる。

「おやすみなさい、白澤さん。」

鬼灯の愛おしい声と共に、頬に柔らかな感触と温かさが伝わる。

眠りから覚めたら、鬼灯を思いっ切り抱き締めてあげよう。

なかなか素直になってくれない、この可愛くて堪らない鬼を。














私が寝不足の末に書いた突発作。
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