【短編】現代(白澤×鬼灯)

□私の話、聞いてます?
2ページ/3ページ

「白澤さん。」

「うん。」

「私ね、今日の夕飯を牛丼にしようか豚丼にしようか迷ってるんですよ。」

「うん。」

「私の話、ちゃんと聞いてます?」

「うん。」

「白澤さんは、牛丼か豚丼どちらが良いと思います?」

「うん。」

あ、これはもう聞いちゃいないな。

とうとう「うん。」しか言わなくなった。

「豚丼はお好きですか?」

「うん。」

「共食いですね。」

「うん。」

「今、ご自分が豚だと認めましたね?」

「うん。」

「白豚さん。」

「うん。」

今度は、刻んだ生薬をすり鉢に入れてごりごり磨り潰している。

「貴方の肉で豚丼作ったらさぞや美味しいのでしょうね。」

「うん。」

笑いが込み上げてきたが、かみ殺す。

すり鉢を持って鍋の前に行き、中身を鍋に投入して掻き回している。

目元を見るといつもはない隈がうっすらできていた。

どうやら、疲れているのは嘘ではないらしい。

「白澤さん。」

「うん。」

「私のこと好きですか?」

「うん。」

「愛していますか?」

「うん。」

「私も愛していますよ。」

「うん。」

黙々と鍋を掻き回す白澤さん。

私はこれ以上何も言わずに、薬を作る白澤さんを眺めていた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ


©フォレストページ